超インドア女子だった筆者が、自然との関わりによって得た数々の気づきをまとめたエッセイ集「デイリーアウトドア 自然とつながって心ゆたかに暮らそう(メディアファクトリー)」。
オススメアウトドアグッズや、キャンプで役立つ暮らしの知恵、自然から学ぶコーディネート術など経験から導き出された筆者独特のセンスが随所に紹介されている。
筆者である四角友里氏は、「運動オンチで体力ゼロの超インドア女子」だったと振り返る。アウトドア生活に無縁だった彼女が、自然と触れるようになったきっかけは、一冊の本『センス・オブ・ワンダー』との出会いだった。
釣り好きの彼氏に連れられて(現在の旦那さん)、湖や森に行くようになっていったという。「最初はただ何もせずに、本を読んだり昼寝をしたりのんびり過していました。でも、初めて自然の中で過してみると、そこには想像もしなかった世界がありました」と話す。
筆者は、はじめて自然に触れた印象を同著の中でこう書いている。
クローバーの上で朝露がキラキラ輝くこと。小さな野花が太陽を見上げること。夕焼けで空の色が刻一刻と変化すること。そんな当たり前の自然の現象が、すべて初体験。ひとつひとつに「キレイ・・・」「うわぁ」と感動の連続でした。自然の中で小さな発見に出会うたびに、鈍感になっていた「感じる心」を取り戻していったのです。(本文から引用)
以来、自然の魅力に引き寄せられ、アウトドアに縁のない女性に、自然と触れ合う機会をもってもらえたらという想いで、活動を開始する。その活動のなか、おしゃれにアウトドアを楽しむという革新的アイディアを形にした「山スカート」を誕生させた。それが空前の女性アウトドアブームを引き起こし、社会現象にもなった。
現在、筆者はニュージーランドに移住して生活をしている。ニュージーランドは自然とともに暮らすことを大切にする島国である。先住民族マオリ族の「自然に敬意を払う」文化がベースとなっている。
しかし、それは日本も同じだという。四季を大切にし、自然を楽しむ独自の感性をもつ日本文化。着物着付け師としての顔ももつ筆者の視点によって語られる。そして日本にも自然を大切にする神道やアイヌ族にも通ずる共通点がある。お金や地位ではなく、徳や笑顔を人に向けることで、自分自身に返ってくるという考え方が両者の根本に存在する。
自然とともに暮らすことを大切にしてきたニュージーランドと日本で生活する筆者が、自然から学んだ理想の生き方や、その生き方のために毎日の生活に取り入れていることが同著では紹介されている。
自然との関わりを通して、超インドア女子から超アウトドア女子へと成長していく筆者の様子を見ることで、外に出かけたくなる一作である。(オルタナS副編集長=池田真隆)
「デイリーアウトドア 自然とつながって心ゆたかに暮らそう(メディアファクトリー)」著 四角友里 1260円
四角友里:
着物着付け師 | アウトドアスタイル・クリエイター
「大好きな自然と、自分らしいスタイルで繋がりたい」 というメッセージを掲げ、 機能的かつ女性らしいアウトドアスタイルを提案。トークイベントや本の執筆をはじめ、アウトドアウェアのコラボレーションなど、女性のアウトドア普及のためのさまざまな活動を行っている。 2010年、長年の夢であった永住権を取得し、 ニュージーランドへ移住。 4ヶ月間、湖畔にとめたトレーラーハウスでのキャンプ場生活を送る。 その後、ある湖のほとりに暮らしながら、 東京と行き来するノマドライフを送っている。
公式HP:www.respect-nature.com
Facebook:yuri.yosumi