毎週金曜日夜に開かれる大飯原発の再稼働反対デモが7月13日も首相官邸前で行われた。警視庁機動隊はデモが開始される18時前から、最も混雑する千代田線国会議事堂前駅の4番出口以外の出入り口は全て降り口専用とする措置を取った。
増えているのは参加者だけではない。警備にあたる警察官の人数も毎週増加している。さらに、再稼働反対デモについて報道する大手マスコミの数も増えている。先週7月6日には、これまで官邸前デモを報じてこなかったNHKも報道し、ツイッター上で話題となった。
3月から毎週開かれている官邸デモの参加者数については、警視庁広報課の担当者は「警視庁では人数は把握しているが、一度も公表していない」との見解を明らかにしている。
また、このデモを所轄署として担当する麹町署についても「麹町署も発表していない。そもそも警視庁が発表していないものを麹町署が発表することはありえない」とオルタナS編集部の取材に答えた。
警視庁の広報課も、所轄署も発表していない数字が大手メディアで「警視庁によると」「警視庁の調べでは」とのクレジットで報道されている。
デモの参加者数については、総じて主催者発表と「警視庁調べ」の数字が大きく開いているだけに、「警視庁調べ」の数字の信ぴょう性も問題になりそうだ。
大手メディアが警視庁警備部や機動隊幹部からの取材でデモ参加者数の数字を入手したとしても、それが正しい数字かどうかは分からない。
新聞報道に詳しいメディア関係者は「記者クラブとして、警視庁に発表させ、警視庁に数字の責任を負わせないと、それが正しい数字とは誰も検証できない」と話している。
今週のデモで目についたのは、多くの参加者が持っていた白い風船。配っていたのは、新党日本の田中康夫代表だ。1996年にベルギーのブリュッセルで、腐敗した政府に30万人が白い風船を持って街路を埋め尽くし抗議活動を行った「純白の行進」にならっている。
田中代表は、「デモは暴力的にするものではない。楽しみながらするものである」と話しながら、次々と参加者に配布した。
脱原発を訴えるアイドル「制服向上委員会」の橋本美香氏も参加した。「デモは一人ひとりの意思を確認し合える場所。ここに集まった人の想いが野田首相に届いているのか知りたい」と話した。
再稼働反対デモの主催者は、首都圏反原発連合。同団体の中心メンバーの一人ミサオ・レッドウルフ氏は、「(原発停止を)あきらめる必要もないし、今後もデモを続けていく」と話す。
野田首相は13日、毎週金曜日に開催されているデモについて、「多くの声をしっかりと受け止めたい」と話した。しかし、大飯原発再稼働については再考する気はないとしている。(オルタナS副編集長=池田真隆)