やわらかいままで長期保存できる「缶入りソフトパン」を開発したパン・アキモト(栃木・那須塩原)では、非常食を備えることで世界の飢餓救済の活動に参加できる「救缶鳥プロジェクト」を2009年から始めている。

東アフリカの遊牧民に「救缶鳥」を配布するようす


これは、3年間の賞味期限を持つ同社の非常食のパンを購入してもらい、備蓄から2年後に日本中の顧客から回収・輸送され、飢餓に苦しむ国々へ安心できる義援物資として届けるというもの。

3つの味(オレンジ・レーズン・いちご)が各5缶ずつの15個入で1万2000円(税込み)だが、回収・輸送は顧客の負担にならない。また、「国際貢献に興味はあるけど値段がちょっと….」という人には、1箱を3人(5缶入り小箱×3)での共同購入もできる。

さらに、「救缶鳥」には義援先の人々へ向けてメッセージを書きこむことができるため、学校や塾ならグローバル教育の一環として、また企業や自治体なら国際貢献のアピールにも役立てることができる。

もっとも、昨年の3・11の東日本大震災によって、顧客の多くから「被災地に届けて」という声が集まり、これまで回収した「救缶鳥」は急きょ仙台を拠点に被災者へ配布されることになった。

同社では、2004年のイラン大地震を皮切りに、2010年のハイチ大地震まで救援物資としてパンの缶詰を世界中の被災者へ提供してきた実績もある。こうした義援先の国々では、パンを食べ終わった「救缶鳥」の空缶が食器として利用されているという。

2011年9月、3年間まったく雨が降らず、家畜も餓死した東アフリカを視察し、わずかな配給に頼って暮らしていることを知った同社では、今後アフリカの飢餓エリアに一般社団法人日本国際飢餓対策機構を通じて提供する予定だ。

同社広報によると、「救缶鳥」はこれまでに約2000件の受注があり、約7300セットが売れたという。なお、この取り組みは、経産省のソーシャルビジネス事例にも紹介されている。(今一生


●救缶鳥プロジェクト
http://www.panakimoto.com/kyucancho/index.html