まだ記憶に新しい2011年3月11日 東日本大震災。
その震災により外で遊ぶことができなくなった子供たちのために作られた「ふくしまインドアパーク」という場所がある。
いま、福島に住んでいる一部の子供たちは外で遊ぶことができない。子供たちはごっこ遊びで創造力を培い、友達と遊ぶことでコミュニケーション能力の基礎を学ぶという。
遊びは子供にとって欠かすことができない心の栄養である。そんな想いの元、子供たちが思いっきり遊べる場所をプレゼントしようと、「ふくしまインドアパーク」は作られた。
2011年12月8日に福島県郡山市のザ・モール郡山店(西友)2Fに、「ふくしまインドアパーク郡山園」はオープンした。毎月1,000人以上の子供たちが来場し、2012年8月22日は10,000人を突破した。
郡山園の立ち上げに際しては、ハタチ基金、東日本大震災復興支援財団、グラクソ・スミスクラインからの大口の寄付金にて改装工事や遊具購入などを行い、毎月定額でご寄付頂く「パークサポーター」の会員も月を追うごとに増えてきた。
人件費に関しては福島県の助成金などを活用し、3人のパークリーダー(現地スタッフ)を雇用、常時2名〜1名が常駐し、父母と共に見守り活動をしている。そして、2012年8月14日には南相馬園がオープンした。
この園は、水が使える砂場を配置し、人工芝や天井装飾をすることで、自然をイメージした屋内公園になっている。
ふくしまインドアパークに毎月1000人以上来場があるのは、パークリーダーと子ども・父母との関係性がしっかりしていることだという。パークリーダーは何度も来場してくれる子どもを下の名前でよび、子どもたちもパークリーダーを先生と呼ぶ。
保育士資格を持ったパークリーダーに対して、育児のちょっとした悩みや子どもの発育状況など、様々なことを父母も話してくれる環境だ。こうした、日常的に来てもらえる公園作りをしていることが、地元の方に受け入れられている理由だと考えていると運営者は語った。
また、ふくしまインドパークでは、遊ぶ場所だけではなく定期的にイベントを行っている。FacebookやTVでの露出により様々な人から企画提案や協力の連絡がくるそうだ。地域としてのコミュニティーを超えて全国でも「ふくしまインドアパーク」の繋がりができている事がソーシャルネットワークの力を物語っている。
しかし、特に未就学児をお持ちの父母は、まだまだ安心して外で遊ぶことはできないと思っている人が多い。また、転勤や引越しが福島県内では多く、子ども同士のつながりや親同士(ママ友)のつながりが切れてしまいがちである。こうした人同士をパークリーダーが紹介してまた繋がりを作っているのだ。
子どもの遊び場としての機能だけでなく、コミュニティの場としての機能が強くなっている。こうした意味でも、まだまだ被災地には屋内公園の必要性を認識してもらい、地域コミュニティ再生に支援が必要だろう。
子どもたちが笑顔でいるには、その親が笑顔であること、余裕があることが必要である。放射能を起因とした不安や、子育ての不安、様々な不安に囲まれて生活していく中で、こうした不安感をパークで遊んでいる時は少しでも軽減できるように、楽しい雰囲気作りを心がけて運営していると語った。
福島は、これから徐々に外で遊べるようになり、子どもの遊び場としては元に戻りつつあるが、こうした不安感はまだまだ根強い状況である。こうした内面的な部分に目を配った対応がこれから必要な支援だ。
寂しくなってしまった地域コミュニティの場としても機能するこの場所は、子どもだけでなく大人たちへ心の安らぎをもたらしている事だろう。
少しでも多くの子どもたちに笑顔が戻りますように。今日も「ふくしまインドアパーク」は動き続けている。(オルタナS編集部員=實藤カナリ)
・ふくしまインドアパークHP
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