1月10日、自然派石鹸を扱うLUSH新宿駅前店にて化粧品の動物実験に反対するキャンペーンが行われた。店先にはウサギの顔に薬品を塗る実験で使う、首を固定した装置を再現したものが設置され、ウサギの着ぐるみに薬品代わりのクリームを塗られることで動物の視点から体験できるようになっている。
チャリティ・キャンペーン担当の秋山映美さんによると、欧米諸国に比べて日本国内での動物実験の実態に関する情報公開をしている業者は非常に少ないという。そのため年間約1千万から2千万の動物が実験のために命を落としているにかかわらず、動物実験について知らない人がたくさんいるのが現状だ。だからこそLUSHのような化粧品会社が訴えることで、関心のない人にも伝えることができるという。「良い商品はみんな友達に勧めたがるように、大事な情報もお客様どうしの中から広がっていくことを期待したい」と秋山さん。
また化粧品業界は最も代替法の開発と実用化が進んでる分野だという。生きた動物を苦しめなくても、培養した細胞などを使って毒素を調べることができ、その他の分野でもコンピュータで毒素を予想したり、DNAなどを固定したチップを利用する方法なども研究されている。
しかし、日本には動物実験を規制する法律は残念ながらない。2005年に動物愛護法が改正された際には第41条に動物実験の「3Rの原則」が理念として盛り込まれたが法的な拘束力は無い。「3Rの原則」とはRefinement (洗練)、Reduction (減少)、Replacement (置き換え)を指し、義務付けられているのは苦痛の軽減のみだ。すでにEUでは2009年に化粧品の動物実験が禁止になっているのに対し、日本は余りにも遅れている。
そのため、来年6月に行なわれる動物愛護法改正に向けて多くの署名が必要になる。各店舗でのこのキャンペーンは1月16日までだが、署名は3月31日まで店頭またはウェブサイトでも募集中だ。化粧品の動物実験を法律で禁止するためには、「かわいそう」で終わらずに消費者が声を上げることが重要である。(オルタナS特派員=森本洋子)
■LUSH特設サイト「No! ANIMAL TESTING」