評論家の荻上チキさんを中心に弁護士やジャーナリストら13人が5日、「ストップいじめ!プロジェクトチーム」を結成し、いじめに関する情報をまとめたホームページ(HP:http://stopijime.jp/)を8日に設立した。
コンテンツは大きく分けて5つある。
相談窓口情報・いじめQ&A・いじめ攻略アイテム集・いのちの生徒手帳・いじめ報道に関するガイドラインだ。
それぞれ共通して特徴的なのはどの内容もいじめられている人の視点で書かれているという事だ。「いじめ」そのものの説明や概要、やってはいけないんだというような事はどこでも言われるが、それを取り巻く環境であるメディア(報道)大人、学校などその当事者の取り巻く様々なものに対しての配慮がなされている。
例えば下記の一文がある。
「相手に謝罪してもらい、いじめを起こさないとの確約させてほしい」
「別の学校に転校したい」
「保健室登校を認めて欲しい」
「席替えをして欲しい、班替えをしてほしい、クラス替えをしてほしい」
「相手を出席停止にして欲しい」
「犯罪に相当するので警察に動いて欲しい」
いじめの解決法が曖昧であるからこそ「具体的」にどうやって解決へ向かうのかが大切だ。その「具体的」な内容が学校ならどこまでしてくれるのか、家族ならどこまで考えてくれるのか。このサイトでは感情論だけではなく方法でしっかりと提示をしています。
また、「いじめ攻略アイテム集」として独自のいじめチェックシートも作成されておりこれらも子供目線と親目線で作られているのも特徴的である。大人がどんな対応をすればいいのかという事も一緒に考えてくれるのだ。攻略アイテムという表現も子供にわかりやすい表現になっている。
全く新しい試みとしての「いのちの生徒手帳プロジェクト」は、公立中学校などで持つことの多い生徒手帳に、「2ページで作れる命綱」を準備するというプロジェクトだ。いじめを受けた際の学外相談機関や、相談する際に役立つ記録ノートを、生徒たちの手元に届け、SOSを少しでも発信しやすい環境をつくることが目的である。
民間機関から報道機関に対しても配慮をお願いするという事も初めての事ではないだろうか。特定のいじめ事件がひとたび話題になると、その事件について報道が集中しがちになり個々の記者が「決して同じような事件を繰り返させまい」と、報道の責務を果たすべく努めていても、メディア全体としてみると、結果的に過熱報道になってしまうことが少なくない。
過熱報道は、時として、子どもたちを死に追いやってしまうことすらある。そのようなパラドックスを解消するため、「いじめ報道に関するガイドライン」を提案している。
「いじめを防ぐための報道」と「子どもたちの命を守るための報道」を実現するため、各社で報道ガイドラインを策定するためのたたき台として、あるいは視聴者の皆様が、メディア報道のあり方をチェックするための手がかりとしての役割がある。
このように当事者である子供・それを取り巻く環境や場所・見守る大人・報道するメディア。全ての協力が欠かせないいじめ問題だからこそ学校だけに頼らずに助け合える環境が整ってほしい。また、これから一緒に運営をしていくためのメンバーも募集中である。
自身も幼少期にいじめられた経験といじめ止める事が出来なかった経験があった。その時こそ解決策などは見出すことも口にすることも出来なかったが、「クラスを変えてほしい」「毎日同じ空間にいるのが耐えられない」など今後、具体的な事が子供の口からも話せるように、そして周りの大人たちもその言葉と信号をどうか受け止めてほしい。ネットを使う事が当たり前の時代になったからこそ出来る取り組みであるとも思うので、出来るだけたくさんの子供たちに、大人たちにこのHPの存在を知ってもらいたいと思う。(オルタナS編集部員=實藤カナリ)
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