歩道と車道の間に自転車専用通行帯を設置し、利用状況を調査する社会実験が札幌市中心部の国道230号で始まった。

期間は、10月1日から1ヶ月間、場所は通称北1条通と呼ばれる国道である。設置されるのは道内では初となる。自転車の車道走行を促し、歩道上での歩行者との接触事故を防ぐねらいだ。

自転車通行帯に駐車する自動車


通行帯を利用する自転車の安全性に問題がなければ継続設置し、検証結果を他地域に設置する際の参考にする。自転車専用通行帯は北1条通のうち西4~7丁目の約550メートルに設置。冬の除雪用に確保された幅約1・5メートルの路肩部分を青色で塗装した。

道路を管理する札幌開発建設部や道警、市など関係団体でつくる札幌都心部対策連絡協議会がアンケートやビデオ撮影で利用状況を調べる。

自転車は道路交通法上、軽車両として扱われ、子どもや高齢の方などを除いて、車道の左側走行が原則となっている。しかし歩道を走行する自転車が多いのが現状だ。

実際に、この自転車専用通行帯を走行していた方に話を聞くと、安全に走行できたとは言い難いようだ。

例えば駐車禁止区間とされている専用通行帯上での路上駐車が多く、停車している車を追い越す際に、自転車専用帯をはみ出して車道走行を余儀なくされたという。

また、専用帯内にバスの停留所があるため、バス停車中は走行が中断されたこともある。「正直なところ、交通量が多い時間帯は、恐怖を覚え、歩道を通行した方が安心だ」という声も聞かれた。

警察庁は全国で歩道走行する自転車と歩行者が衝突する事故が多発したことを受け、昨年10月、自転車の原則車道走行の徹底を各都道府県警に通達した。道警によると、道内でも今年8月までに自転車と歩行者が衝突する人身事故が計14件起きている。

札幌市内の自転車事故(平成21~23年)は交差点での出会い頭に多発し、通勤通学時や集中している。この実験が、歩行者も自転車も車も、安全に快適に共存できる環境が実現する1歩となることを期待する。(オルタナS北海道支局特派員=中保ユカ)


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