CSRはCorporate Social Responsibilityの略。日本語では、「企業の社会的責任」と訳される。「CSR」という言葉は日本の中でまだまだ定着していないが、自社オリジナルの名称を付け、活動している企業もいくつかある。

日本にCSRという言葉が入って来て、会社の中でセクションができ始めたのは、10年前の2003年頃から。

もともと、日本には環境部があったため、そこに統合される形で、環境・CSR部として活動している企業が多い。他にはシンプルにCSR部や社会貢献部というスタイルである。

現在のCSRのメイン・コミュニケーションツールとして活用されているCSRレポートも、この部署名とリンクしていることが多い。

今回は自社オリジナルメッセージを発信している5つの企業を紹介したい。

1、プロントコーポレーション
Customer Smile Relationship

カフェチェーンのプロント。
こちらは、略はCSRのままで、意味を変えている。「企業の社会的責任」というと少し近づきにくいイメージだが、このCSRは身近な存在に感じられる温かさがある気がする。

2006年度からハンドブック「SHARING SMILE」の製作を行い、全従業員に配布。Customer Smile Relationshipを掲げ、「CSRとは一人ひとりの行動の積み重ねである」とし、一人ひとりの行動の結果が“笑顔”につながることを伝えてきたそうだ。

このように、小さな積み重ねこそがCSRだと伝え、個々人に意識を持たせることが、CSRのあるべき姿かもしれない。

2、ドール
CR&S(Corporate Responsibility & Sustainability)

生鮮果実・野菜等を扱うドール。
こちらはCSRと使われている文字は同じだか文字の並びと、意味が少し変わっている。グローバルに掲げているこのメッセージは、持続可能性を強く意識している。

ただ、日本のホームページ上ではこの言葉は使われていないので、リンクは本社のホームページ。しかし日本でも積極的に活動が行われているので、近日その活動をオルタナSでご紹介する予定だ。

3、マイクロソフト
Microsoft Corporate Citizenship(企業市民活動)

こちらもグローバルに掲げているメッセージ。彼らのミッションである、“世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を、最大限に引き出すための支援をすること”とリンクさせているようだ。
CSRレポートもCitizenship レポートとして発行している。

「ガールズトーク★マイクロソフト企業市民活動 女子ブログ」なるものも存在し、企業市民活動の現場を担当者達がレポートしている。
http://msjapancitizenship.wordpress.com/
ここでは、企業市民活動=「社会課題の解決を目指して、IT の力で人々の可能性を拡げるための支援活動」と定義されている。

10月3日にサイトがリニューアルされ、新たに“未来をつくる、あなたと”(image ● nation)というテーマを掲げている。
本業を通じた社会課題解決を掲げながらも、「課題解決に取り組むには、ひとつの企業の力だけでは限りがあることも確か。だからこそ、みなさんと一緒に、日本の未来をつくっていきたいと考えています。」と語り、より市民と一体となろうとしているメッセージを感じる。

4、ジョンソン・エンド・ジョンソン
我が信条(Our Credo)

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、自社のコア・ バリューである「我が信条(Our Credo)」で唱えている4つの責任の中のひとつとして社会的責任をとらえている。

第三の責任である「地域社会への貢献」を果たすため、非営利団体との協働を掲げた「ジョンソン・エンド・ジョンソン社会貢献委員会」の設立など、様々な活動に取り組んでいるようだ。

5、アップル
アップルでは、CSRという言葉は使わず、

アップルと環境

サプライヤー責任

という形で自社ウェブサイト上で報告を行っている。

実は、アップルにおける「CSR」とは、「チャネルサポートレプリゼンタティブ」という、「アップル製品の販売店向けサプライチェーンマネジメント業務に関するデータ収集、レポート作成業務」という、全く別の役職だ。
http://www.apple.com/jp/jobs/corporate_jobs/operation/csr.html

「CSR」という言葉だけが一人歩きし、「やらなければならない“責任”」として理解されるのではなく、自社が取り組むべき課題は何なのかを考え、それをステークホルダーにわかる形で掲げ、発信してくことが今、求められているのではないだろうか。(オルタナS編集部員=山田衣音子)


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