被災地でのボランティア後、地元格闘家とグラップリング(打撃の無い関節技・寝技)の試合ができるイベントが開催される。10月27日に、岩手県大槌町で津波で荒地になった農地跡を公園にする作業を行い、翌28日には、近隣の仮設住宅に住む住民らを招いて体育館で試合を行う。対戦選手だけでなく、当日のボランティアスタッフや協賛金も募集している。

第一回大会は、近隣仮設住宅の観客も含めた200人の前で行われた


「ニコニコグラップリング東北大会」と名付けられたこのイベントは今回で二回目。一回目は今年5月、関東から訪れた選手や愛好家たち約20人が、吉里吉里海岸での瓦礫撤去と交流試合を行った。

主催者は、元総合格闘技世界王者の勝村周一郎さん(36)。勝村さんは、震災直後「何かしなくては」と、タイトル防衛戦1カ月前にもかかわらずボランティアを数回に渡り志願した。医療者たちのドライバーや、現地での物資運搬などを行った。

そこで耳にしたのが、大槌で総合格闘技を教えていた平野仁さん(35)の噂だった。平野さんは震災直後から、格闘技のメンバーやその家族の安否を探して避難所を巡回。東京などの格闘技仲間たちから食料が届けば配って歩いた。

「日々の生活で精一杯。半年たっても練習場所は無く、避難所の集会所で細々行う程度」(平野さん)

事情を知った勝村さんは「それなら一緒に練習しよう」と、2011年の12月、大槌へ選手数名と訪問。

「『1年近くぶりにこんなに充実した練習ができた』という声を聞き、自分にできることで、楽しみながら支援できればと、大会開催を決めた」(勝村さん)

現在、平野さんは勝村さん他様々な格闘家たちの支援を中心に新しい練習場所「釜石ベース」を建設。「再び震災が起きた時に、ボランティアの人を泊めたり、物資を集めたりできる活動の拠点にしたい」と、「ジム」ではなく「ベース」にした。

一回目に参加したある小学校教師は、「今まで何度も東北に行く機会があったが、何かと理由をつけて逃げてきた。今回参加することになり、大会を楽しむのはもちろん、東北の『今』を目で見て、耳で聞いて、体や心で感じて、教え子たちに伝えたい」と意気込んでいた。

26日深夜、渋谷からバスで出発し28日深夜に帰着。参加費は2万円で、往復バス料金、宿泊費、ニコニコ出場代、バーベキュー代などを含む。大会参加は格闘技歴半年未満程度の練習生から可。詳細は、公式サイトから。(遠藤一)


ニコニコグラップリング東北大会 
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