鹿児島県の管理された美しい竹林(写真提供:中越パルプ工業株式会社)


竹と言うと今の私たちには少し遠い存在のような気がしますが、放置竹林が土砂崩れの原因となっていることをご存知でしょうか。

昔は竹垣やザルなど竹の需要がありましたが、竹が使われなくなった現在、放置竹林がどんどん広がり、山を浸食し、土砂崩れを引き起こしています。

竹は切っても廃棄に費用がかさみ、加工するのにもコストがかかるため、放置竹林の問題は加速化して行く一方です。
現代の人びとにも積極的に利用してもらえるものを作り続けられるような、仕組みのイノベーションが必要とされています。

こうした課題に挑戦している製紙会社の中越パルプ工業は、年間2万トン(75万本分)の竹を買い取り、紙を作っています。

中越パルプ工業は基本的にはB to Bで紙を販売しているのですが、こうした竹の課題をより多くの人に伝える意味でも、一般消費者向けの商品として、国産竹を100%使用した竹紙ノートを、中越パルプ東京本社近くの伊東屋銀座本店で販売しています。

また、最近では、竹を使用したオリジナルカレンダー「日本の彩 2013 年 日本の型紙・草木染」(企画・制作:高岡一弥氏、印刷:丸山印刷株式会社)が第 64 回全国カレンダー展において部門賞(第 1 部門・一般企業カレンダー)『金賞』、および『文部科学大臣賞』を受賞しました。
こちらも、伊東屋銀座本店で3,150 円で販売されており、下記の通り入賞作品の展示が行われるそうです。

・東京会場  東京銀座画廊美術館(東京都中央区銀座2-7-18) 銀座メルサ7階E会場
期間:平成25年1月16 日(水)~18日(金)10:00~18:00
・大阪会場  大阪マーチャンダイズ・マート(大阪市中央区大手前1-7-31)  1階サロン
期間:平成25年1月22日(火)~24日(木)9:00~17:00

森林の間伐問題は徐々に浸透し始めていますが、成長が早く、用途がなくなってきている竹の問題は更に深刻かつ、身近です。

しかし、いきなり竹を使ったり、使われる仕組みを生み出すことは難しいのも現状です。この問題を一人でも多くの人がどこか心に留めておくだけでも少しずつ、変化は起きて行くのではないでしょうか。(オルタナS編集部員=山田衣音子)

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