ラジオを聞くリスナーたちの心境も丁寧に描かれている。仮設住宅に1人で暮らす高齢の女性は、震災で娘と孫の2人を失った。震災から半年が経過しても遺体が見つからず、毎日遺体を探しに海辺に向かう。

震災が起きた日、孫に「早く帰っておいで」と言ってしまったことを責めている。「早く帰っておいでと言ってしまったから、ちょうど下校時に津波に飲まれたのだ。遊んでおいでと言えばよかった」と、悔やんでも悔やみきれない表情で海を見つめる。

仮設住宅で孤独死や自殺が発生する地区では、ラジオが心の支えになっている。その女性も、ラジオから届けられる子どもたちや町民の元気な声に活力をもらうという。FMみなさんの時間になると、ラジオを抱え込むように聞いている。

映画のクライマックスでは、その女性からのリクエスト葉書が届けられ、感動必須のシーンが写し出される。映画は4月13日からヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開予定。(オルタナS副編集長=池田真隆)


ガレキとラジオ

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