アクセンチュアの社会貢献活動である「Skills to Succeed(スキルによる発展、以下:S2S)」では「次世代グローバル人材の育成」、「若者の就業力・起業力強化」、「人材ダイバーシティの促進」という3つの人材スキルに関するテーマを掲げている。この3つの取り組みをするうえで気をつけていることは何か。アクセンチュア 製造・流通本部マネジング・ディレクターでコーポーレート・シチズンシップ全体統括の伊佐治光男さんに聞いた。(聞き手・オルタナS副編集長=池田真隆)

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アクセンチュアが3本柱に掲げる一つである「人材ダイバーシティ促進」の領域で行った食品加工を営む障害者授産施設へのヒアリング調査


伊佐治:当社の社会貢献活動は日本で活動されているNPO法人との協業によって成り立っています。各領域において高い専門性を持つNPO法人の存在は社会的な課題解決のために欠かせません。

このようなNPOの専門性をより大規模に、より持続的に活かしていくためには、社会貢献活動のプロセスを徹底して「工業化」していくことが必要であると考えています。

社会貢献活動は、既存の体制やプロセスでも比較的小さな規模であれば確実な効果が期待できますが、活動規模が10倍、100倍になったときに同じことをできるかといったら、難しいと感じています。

規模が拡大しても同じ効果を出し続けるためには、プロセスを徹底的に標準化、マニュアル化し、スケーラブルに展開できるような体制を作らないといけません。

社会貢献の分野ではビジネスの世界ほど活動の「効率性」や「成長」を問われてこなかったかもしれません。しかし、今後、社会貢献活動の重要性がさらに増していくことを考えると、標準化、工業化を進めて効率的に事業を展開し、確実に成果に結び付けるという観点を持つべきではないかと思っています。

その意味で当社の強みであるITを活用することも意識しています。民間企業だと効率化や標準化という観点から業務のなかでITを活用するのは今や当たり前ですが、社会活動の領域でもITを積極的に活用することが必要になってくるでしょう。

当社は本業ビジネスの領域で企業や官公庁のお客様がより高いビジネス・パフォーマンスを達成し、成長していけるようよう、その実現に向けたビジネスパートナーとして取り組んでいます。

このような知見を最大限に活かして、社会的課題の解決の分野にも貢献していきたいと考えています。

*次回は、アクセンチュアの社会貢献の今後の展望を紹介します。