松田さんは震災直後の7月から、石巻へボランティアに行っていた。女子美術大学の学生20人弱で構成される「OMODOC(オモドク)」を結成し、市内の子どもを対象にした、アートを使った復興支援活動を展開していた。

「龍木プロジェクト」のほかに、参加した子どもたちが、線画に自由に色を塗って、一つのアニメーションにつなげるワークショップや、津波で流れたロールカーテンの修復プロジェクトなどを開催してきた。

震災直後から積極的に活動を続ける彼女だが、ボランティア経験はなく、関心もなかったという。彼女を動かしたのは、「衝動」のようなものだ。「震災前までは、学校も遅刻しがちで、怠けていた。しかし、あれだけの人がなくなっていく状況を見て、自分の生き方を見つめ直さないといけないと思った」と話す。

復興支援活動を通して、何か形に残るものを作りたいと思い、絵本を制作した。「この絵本が、震災についてもう一度考えるきっかけになれば」と思いを話す。

絵本を制作している過程で考えていたことは、「石巻でお世話になった人への感謝の気持ち」だ。石巻へ行く度に、家族のように迎えてくれる地元住民へ恩返ししたいと語る。「いつも、御飯や寝る場所を提供して頂いている。助けにいくつもりだが、こちらが助けられている」。

松田さんの絵本「町をまもった龍木(りゅうぼく)」は石巻市八幡2丁目のカフェ「川辺りの散歩道」や石巻市図書館で閲覧ができていた。現在、1000部の出版に向けて、クラウドファンディングサイト「READYFOR?」で106万円の資金を集めている。募集期間は7月6日まで。(オルタナS副編集長=池田真隆)

READYFOR?で取り組み中のプロジェクト

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