*この文章は、今年3月に復興支援団体SETが主催した岩手県陸前高田市広田町への現地滞在プログラムに参加した大学2年生の白石圭祐さんが綴ったものです。1週間をかけて広田町住民との交流や現状視察、漁業や農業支援などを行い、参加者自身が広田町で何ができるのか、考え抜きました。若者は復興地で何を感じたのでしょうか。
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岩手県陸前高田市広田町で活動し、まだまだ被災圏において「復興」という言葉を語るのは早いことなのではないか、ということを強く感じました。
東日本大震災(以下;震災)から2年が過ぎた今もなお、ガレキが街のいたるところで見受けられ、仮設住宅に暮らされている方もいまだにいます。
そして、あの震災がきっかけで未だに心を傷められている方もいます。また、震災以前から抱えていた少子高齢化、第1次産業における後継者問題などの問題も深刻化しています。そのような現状において、果たして、「復興」という言葉は語られても良いものなのでしょうか。
それまで、マスメディアの報道などから考える私なりの「復興」というものは、震災以前、つまり3月11日以前の街並みに戻すことこそが「復興」なのであろうと感じていました。
しかし、今回、広田町で活動し、被災圏には先述したように、震災によるインフラ整備などのハード面、ないし人々の心のケアなどのソフト面そして、震災以前から抱えていた問題が山積しており、これらの問題をすべて解決し、震災以前より素晴らしい街を作ることこそ、本当の意味での「復興」なのではないでしょうか。
現在、「復興」のために動いている方がたくさんいます。今回現地を視察した私たちにできることとは、この現状を多くの人に伝えていき、震災の出来事を風化させないようにすることなのではないかなと思います。(寄稿・白石圭祐)