2020年東京オリンピック・パラリンピック開催を目前に控え、メディアでもパラスポーツやその選手を目にすることも増えてきました。しかし日本の社会は、障がい者と健常者の共生はまだまだ程遠く、壁があるのが現状ではないでしょうか。スポーツを通じ、障がい者と健常者が共生する社会をつくることを目的に活動するNPOを紹介します。(JAMMIN=山本 めぐみ)

◆障がい者と健常者、接点がないという現状

NPO法人D-SHiPS32(ディーシップスミニ)を立ち上げた上原大祐(うえはら・だいすけ)さん(35)は、2010年のバンクーバーパラリンピックでアイススレッジホッケーの日本代表として活躍したパラリピアン。

アイススレッジホッケー日本代表選手として活躍した上原さん

二分脊椎を持って生まれ、ずっと車椅子で生活してきた上原さんは、小・中・高と特別支援学校には通いませんでした。その裏には母親の忍耐強い教育委員会への説得がありました。

普通学校への進学を希望したものの、「車椅子に乗っている」という理由だけで入学を度々拒否された母親の鈴子さん。「1パーセントでも可能性があるなら」と何度も話し合いの場を持ち、最終的に「母親が毎日付き添って面倒を見る」という条件付きで、入学の承諾を得ていたのです。

上原さんが子どもだった25年前と比べても、「障がいを持って生まれてきたという理由だけで『普通の生活』が送れないという状況は、ほとんど変化していない」と指摘します。

「障がいのある我が子にスポーツなんてさせる余裕がない」。障がいのある子を持つ親からよく聞かれる言葉です。

「健常者が障がい者を知るきっかけがなく、障がい者のことをなかなか分かってもらえない」。そんな現状を変えるために、スポーツイベントを通じて、障がい者と健常者が互いを知り、理解する場を提供しています。

「車いすスポGOMI」。車椅子に乗ってゴミ拾いしながらバリアフリーポイントとそうでないポイントを探し、点数を競う

「100%バリアフリー」は存在しない

「今の技術では、『100%バリアフリー』なんて存在しない。視覚障がいの方のための点字ブロックが、車椅子ユーザーにとってはバリアになってしまうように、それぞれの障害に対応することはまだまだ難しい。だからこそ、障がい者と健常者が助け合っていく道を模索したほうがいい」と、上原さんは考えます。

イベントの一コマ。障がい者も、健常者も、同じ目標に向かって、楽しみながら互いを知り、理解していく

「健常者が障がい者の目線を知れば、困っている障がい者を見かけた時、それまでより気軽に声をかけられるようになる。同時に障がい者もまた、健常者と関わりを持つことで、自分が困っているときにどうやってそれを相手に伝えればいいかを知ることができる」。「互いを知る」ことが、「共生」のための第一歩だと強調します。

◼スポーツから、互いを理解する

車椅子に乗ってゴミ拾いをしながら得点を競い合う、「車いすスポGOMI」など、D-SHiPS32は、障がい者と健常者が楽しく交流できるイベントを企画し、随時開催しています。

「障がいや運動神経にとらわれず、みんな同じフィールドで戦えること。同じ目線でものを見て、そして笑い合えること。そこから理解が生まれていく。スポーツにはその力がある」と上原さんは話します。

専用のイモムシウエアを着てラグビーをする「イモムシラグビー」。障がいのあるなしや運動神経に関係なく、みんな同じ目線&フィールドに

◼イベント開催費を集めるチャリティーキャンペーン

D-SHiPS32は、毎年夏に長野県で「じゃがいも掘りツアー」を実施しています。
「じゃがいもを掘る」という同じ目標に向かって、みんなで助け合ってひとつのことを成し遂げることで、障がいのある人もない人も、楽しみながら互いを理解するきっかけになるひとつの場です。

この度、D-SHiPS32は、チャリティーファッション専門ブランド・JAMMIN(京都)と1週間限定でキャンペーンを実施し、Tシャツを販売します。この夏開催する「じゃがいも掘りツアー&誰もが交わるキャンプ」開催のための費用のうち15万円を集めます。

「JAMMIN×NPO法人D-SHiPS32」1週間限定のチャリティーデザイン

Tシャツ1枚につき700円がD-SHiPS32へチャリティーされます。販売期間は6月5日〜6月11日の1週間、JAMMINホームページから購入できます。

JAMMINホームページでは、詳しいインタビューも掲載中。あわせてチェックしてみてくださいね。

「互いを知れば、アクションは変わる」。スポーツを通じて障がい者と健常者が共生する社会を創る〜NPO法人D-SHiPS32

【JAMMIN】
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