1989年英国で創刊された「エシカルコンシューマー」誌では、エシカル度を測る指標「エシスコア」が提示されており、過去5万の企業・製品が評価されている。
同じく英国には、企業支援として、「エシカル・トレード・イニシャチブ」なるネットワークがあり、ILO(国際労働規範)に定められた基本的国際原則を規範として導入し、監視と改善促進を行っている。
英国以外でも「Covalence Ethical Quote(約70の世界的企業が参加する倫理的評判指標)」、「SEDEX (Supplier Ethical Date Exchange サプライチェーンに関する企業間情報プラットフォーム)」といった指標やコンサルが存在する。
翻って、日本のエシカル市場には前記のようなモノサシがあるだろうか?オルタナSの特集「エシカル定義」では、筆者も含め各自の「観念」が提示されている。
ただそれはあくまで各自の想いであって、現状ではフェアトレード認証以外には、明確な基準がない。名乗った時点で、エシカル商品だということになってしまうし、是非の判断は生活者に委ねられている。
そもそも、そんな主観的な形容詞に対して「売れる、売れない」の議論は、違和感を覚える。
エシカル商品も買うけど、ファストファッションやコンビニ、100円ショップにも行く。そんな気まぐれな我々に対し、エシカルは「問題提議」という役割を負っている。
商品の裏側を、世界の現実を、提示すること。その気付きこそが、購買選択肢に残るための戦略ともいえる。但し、エシカルといえどもマーケティングの4P、価格や流通、商品、販促面での優位性・差別性が担保されているだろうか?
少なくもと私が知っているエシカル市場のプレイヤーは当然自覚的であり、切磋琢磨されている。願わくは、皆さんの努力により、日本のエシカルには倫理的という意味に加えて、「エッジが効いている」というニュアンスが付加されていくことを望んでいる。(寄稿・デルフィス エシカル・プロジェクト プロデューサー 細田琢)