今年3月、東京ディズニーリゾート初となる同性カップルによる結婚式が、行われた。式を挙げたのは、増原裕子さんと東小雪さん。1年半に及ぶ交際期間を経て、この日を迎えた。

会場となったホテルミラコスタで、家族や親しい仲間に加えディズニーのキャラクターたちに囲まれながら幸せな結婚式を挙げた二人だが、当初この結婚式はできないものであった。事の発端は、大のディズニーファンである東さんが東京ディズニーリゾートで結婚式を挙げられるか尋ねたことだ。

ディズニーからの返答は、「式を挙げるなら、新郎新婦の格好をしてほしい」というものであった。つまり、一方が新郎用の服を着、一方が新婦用の服を着てほしいという意味だ。この返答に対して、二人は悩んだ。東さんが自身のツイッターでディズニーとのこのやりとりをつぶやくと、「夢の国でも、夢は叶えられないのか」、「多様性を認めるべきだ」など1000件を超える反応があったほどだ。

1週間後、二人は東京ディズニーリゾートから「ご希望の衣装で、つまりウェディングドレス同士で結婚式を挙げていただけます」との返事をもらった。米国のウォルトディズニー社にも確認をとった上での正式回答は、最初の回答から大きく変わった。こうして、日本のディズリーリゾート初の同性結婚式が開催されることとなった。式の当日、増原さんはサプライズで両親へ手紙を書いた。

そこには、10年前には、結婚式を挙げられるとは夢にも思っていなかったこと。思春期に自分のセクシュアリティに悩み、誰にも打ち明けられずに苦しんだこと。そして、両親にカミングアウトして、動揺させてしまったが、今では受け入れてくれることへの感謝の気持ちなどが綴られていた。

まだ日本では同性婚は法律として認められていない。なので、二人の関係は法律的には「夫婦」ではなくて、「シェアハウスをしている友人同士」となる。重病など一方の緊急時に法的に家族でないことで面会ができなかったり、治療方針の意思決定に加われない可能性があるし、どちらかが亡くなったとき遺産の相続は認められない。子どもを持ったとしても、片方にしか親権が認められない。

それでも、増原さんは、「セクシュアリティを理由に、やりたいことをあきらめないでほしい」という。「自分も10数年前にはいろいろなことをあきらめていたが、今は時代も変わってきて、同性婚が認められている国も増えている。法的な結婚ができなくても、式を挙げたことで、パートナーシップが深くなったと実感している。子どもも育てて、幸せな家庭を築いていきたい」とまっすぐに前を見つめる。(オルタナS副編集長=池田真隆)


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