じゃらんリサーチセンターは地域の魅力を見出し、日本の観光を見直すという志のもと2005年に誕生した。「もともと宿泊施設向けに『じゃらん』というサービスを提供していました。しかし宿の方がいくら頑張っても地域自体の観光客が減ってしまうと宿に集客ができない、という課題がある事から地域全体の活性化を目的とした調査研究機関、じゃらんリサーチセンターが設立されました」。

同センターでは、地域全体の活性化を図るために、各市役所、観光協会にリクルートのスタッフを派遣し、地域の人、官公庁と共に地域活性化のモデルをつくる調査や実証実験を行っている。

「観光は裾野が広い産業であり、様々な地場産業に影響を与えます。外国人旅行客に対してガイドを付けて日本の生活文化を案内するだけで価値が付くように、スモールビジネスの宝庫でもあります。ユーザーの気持ちの変化を汲み取り、消費者目線から知恵をしぼっていきたいです」

近年では、地域活性化に興味を抱く若者が増えている。大学在学中にインターンとして地方で村興しに挑戦したり、卒業後に移住する者もいる。横山さんはこの動きを歓迎する一方で慎重な姿勢も示す。

「地域活性の仕事は、マーケティングや地域の伝統文化に対する知識はもちろん、経営的な視点や、旅行客の気持ち、携わる関係者の気持ちを把握することが求められます。私も無力感にさいなまれる事もあるのですが、知見を広げることで、より地域の良さが見出せると思います」と話す。

「若くして地域のために活動したいと思う志は素晴らしいこと。でも、貴重な存在だからこそ、急がずに、経験を積んでから地方へ入ってほしい。若者は地方にとって希少な存在なので、重宝されます。しかし地域活性化を自身のミッションとして考えた時、結果を出していくことと、関わる人たちが楽しむことはまったく違うことです。自戒も込めてですが、全力で課題に向き合うためにも多様な人と関わり、十分に力を付けてから行ってほしい、と思います」(オルタナS副編集長=池田真隆)


【横山幸代】
株式会社リクルートライフスタイル じゃらんリサーチセンター 副センター長
早稲田大学第一文学部卒。リクルート入社後、社会人教育部門にて情報誌編集、商品企画、新規事業担当を経て、2009年より現職。「じゃらん宿泊旅行調査」「ASEAN3ヵ国インバウンド・ニーズ調査」など観光調査や、イクメン市場活性化のための「初めてのパパ子2人旅市場創造プロジェクト」、農村観光活性化プロジェクト「旅のついでにムラご飯を食べに行こう♪」など省庁連携プロジェクトなどを担当。観光庁「若者旅行振興研究会」、沖縄県「元気プロジェクト」委員。
じゃらんリサーチセンター


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