山下さんが上海で活動をするようになった背景はそれほど複雑ではない。大学卒業後、札幌で文化事業を中心に執り行う公的機関に就職したが、将来を思い描いた際に、このままでいいのかと常に疑問を抱いていた。

もともと在職中も海外や視野にいれて活動していたので、たまたま、上海に日本人の協力者がいたことも上海を選んだ理由となったが、日本人アーティストが少ない方が、アーティストとして生き残ることができそうだと思ったと計算高い一面も見せる。山下さん自身にとって「珍しい」という付加価値が重要だと強調する。

「上海同居日記」と名付けられたこのプロジェクト、ラブドールとの出会いから面白おかしく演出されている。中国人からは、「日本にこんな変わり者がいた」などと揶揄されながらも、敵対心というよりは好意的なコメントが動画に残された。

当初、自身の貯金が尽きたら上海から戻ろうと思っていたが、プロジェクトの発展も意識し計画を変更し、最低3年は中国で頑張るという。「度を超えたバカバカしさは、きっと緊張状態のこの二国間を脱力させる力があるのではないかと信じています。ただ、寂しいので誰か上海に来てください」山下さんはユーモアで締めくくった。既存の価値観を揺さぶり、ちょっと変わったもの異質なものを脱力系で発信していく山下さんのプロジェクトの今後にも注目したい。

再生20万回を超えた動画
大家还记得CP12那只丧心病狂的皮卡丘吗?(みんなあの気の振れたピカチューをまだ覚えているか?)
http://www.bilibili.tv/video/av601692/

上海同居日記
http://yamashita-tomohiro.com/shanghaidoll/

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