橋本社長は「じっと我慢しても、やがて企業は消滅する。社員が何十年先も活躍できる居場所を残すために、チャンスを逃したくない」と、他の企業が買い渋るなか同年3月、1億円以上で落札。

「夢工場プロジェクト」と名付け、社員や仲間とともに工場の改装に取り組んだ。製缶に不可欠なクレーンを取り付けるために、2階と3階の床をくり抜いて吹き抜けを作った。天井には断熱材を施工。空きスペースは、社員の子どもが遊びに来たときのためのキッズスペースや、家賃収入を得るための貸しテナントにした。同年6月、社員全員のアイデアが詰まった夢工場ができ上がった。

工場が大きくなったことで、航空機関係や電気自動車関連といった従来とは違う分野の企業からの受注が伸びた。橋本社長は「あくまでもこの工場は社員の土台。ここから自分の夢を追い求めてほしい」と話す。

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