工場の外壁は水色とピンクで塗装され、中に入ると社員が組み立てたバイクや、木を積み上げて作ったカウンターチェアが置かれている。「遊び場」のような職場で、社員が生き生きと仕事に励む。

同社は5年前から、社員に責任を自覚させ成長してもらおうと、消耗品の仕入れや作業の段取り、製作品の価格決めなど仕事に関わる決定の8割を社員に任せている。高校を中退して数カ所の職場を渡り歩いたり、軽度の知的障害があったりする社員もいる。

社員は叱咤(しった)されながらも、挨拶や言葉遣い、問題に対処する姿勢を学んでいく。橋本社長は「学校や家庭でしつけを受けていない子もいる。中小企業の社長は一人ひとりと向き合えるからこそ、その軌道修正をしたい」と話す。

1980年の創業以来利用していた貸し工場は、現在の3分の1程度の広さしかなく、扱えるタンクの大きさも限られていた。リーマンショックの不況が続く2009年の1月、現在の工場が競売に出された。

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