ソチオリンピックでも、「反LGBT法」をめぐる活動が各国の選手を中心に行われていたが、このほど、アフリカ東部のウガンダで、「反同性愛法案」が成立の見通しが立ち、国際社会から批判を浴びている。(オルタナS編集部員=伊藤由姫)

ウガンダでは、他のアフリカ諸国同様、もともと「自然の摂理に反する性交」、つまり「同性愛」が禁止されている。しかし保守派議員らによって2009年に、同性愛行為に死刑を適用する法案が提出された。

それに対して、英国や米国ら国際社会からの援助中止警告や批判が殺到し話題となった。そのため、最高刑を終身刑とする修正案が提出され、昨年12月に議会を通過した。またこの法案では、同性愛者のみならず、HIV感染者を助けた人も罰せられるため、医療従事者も十分な対応ができなくなる恐れもある。

活動家らは、この法案が成立すれば、さらに広範囲の人々を対象とした同性愛者に対する暴行や迫害がより一層悪化するとして、法案成立を阻止するために、ムセベニ大統領に対する圧力を強めていた。しかし今月15日、ムセベニ大統領は署名する方針を固めた。

ムセベニ大統領は当初、同性愛者は「病人」だとし、助けが必要だという立場を示していた。そのため、法案への署名をいったんは拒否。しかし、一転して法案への署名の意思を示した。理由として、自国の科学者らに意見を聴いたところ、「同性愛は生まれつきではなく、単なる異常行動だ」との回答があったため考えを改めたとしている。

この法案は、大統領が23日までに署名すると成立することになっていたが、ムセベニ大統領は、22日、米科学者への助言を要請し、それらに基づいて署名の是非を決定すると表明した。そのため実質、まだ法案成立とはなっていない。

それは、とくにオバマ米大統領が「醜悪だ」と非難し、法案制定は2カ国間の関係にも影響があると明言したため、大手援助国でもあるアメリカの反発を意識したためであるといえる。

ムセベニ大統領は、生まれつきの同性愛者がいるのかどうか調べたいとし、もしいることが判明した場合には、法案の見通しをしたいとも述べているが、いまだ法案が成立する可能性は否定できない。