5日目には7歳の長女の子のクラスが訪ねてきました。みんなで林檎の収穫、ジュース作り、を体験するためです。朝の10時頃から子供たちが次々と到着し、一気に賑やかに。なんだかみんなほんの少しだけ大きく見えるなーとぼんやり思っていたら、この長女の子が2年飛び級していることが発覚し、ひとりびっくりする私。
その日はりんごの収穫のお手伝い、りんごを機械に入れ、細かくし、それを絞ってジュースにする、あらかじめホストマザーが作っておいたケーキの生地に、りんごを切り分けて、載せ、ドイツ名物りんごケーキを作る、りんごの体験日になりました。それにしても、生徒の家で、みんなで農業を学ぶ、とはなんて良い経験ですな!と私は感心。自分が食べているものがどこから来ているかを知る、友達の家を訪ね、そこでまた大人と知り合う、というのは知らず知らずに子どもの世界観をぐんと広げてくれるはず。
ああ、ドイツだというかヨーロッパだな、と感じたのは、子どもたちがこの農家のお母さんをそのまま「ヤーナ」(お母さんの名前)と呼んでいたこと、私(大人)を見てすぐに「ハロー(ドイツ語でもハローといいます)」と握手しに来た子が何人かいたこと。
こんにちわ、とあいさつするだけではなくて、握手をするのはヨーロッパ社会では珍しいことではないけれど、子どもたちがお世話になる人、なるかもしれない人にちゃんと自分から行くというのは見ていて気持ち良かったのを覚えています。国際的な都市ケルンとは違い、ここではあまり外国人を見かけません。生まれて初めてアジア人を見たのか、何人かの子は不思議そうに私の顔を眺めていました。
ドイツはやはりヨーロッパの、子どもを「小さな大人」とみなして接する、そういう国なんだな、と改めて感じました。ケルンでは、小さい子がスーパーを走り回るのはほとんど見かけず、逆に子ども用の小さなカートで買い物の手伝いをするのを見かけます。子どもに対する、その話をするときの目線。話を聞きかた。
声の出し方。日本とは違います。農家ステイだけでドイツを語るなんてことはもちろんできるはずもないし、どっちが良いとかそう判断する気はないけれど、やはり日本が儒教の影響を受けていること、ヨーロッパが個人主義であることをただ実感します。
一週間の滞在はあっという間に終わり、おとぎ話のような世界からケルンに戻る日がきました。子どもたちとトランポリンしたこと。かぶの収穫をしていたら、ちょうどハート型に削れた部分があるものを見つけてみんなで笑ったこと。
次男の子がサイクリングに連れていってくれ、そこでチーズ味のアイスを食べたこと。親子の会話を聞いたこと。みんなでリンゴの収穫したこと。ホストマザーのご両親にもお会いしたこと。お土産に頂いたりんご、りんごジュース、たくさんの自家製ジャムのおみやげと共に、名残惜しい気持ちを抑えながら、みんなとハグし、一週間のでき事を一気に思い出しながら、電車に乗りました。