途上国の子ども支援などを行う国際NGOプランは、世界の女の子の現状を調査した「Because I am a Girl/ THE STATE OF THE WORLD’S GIRLS ~世界ガールズ白書~」を2007年から発行している。

その中でも、2012年に発行した「学び」にフォーカスした白書を参考に、世界の女の子が学校に通えていない原因と、通えないことで起きる課題について明らかにしていきたい。

2009年、思春期の女の子が生涯で教育に費やす年数は平均6年であり、1990年の4年を上回った。これは、教育機会へのアクセスが増えたことが要因にあるが、都市部に住む裕福な女の子だけが学校に通えており、地方で貧しい暮らしをする女の子の就学率はいまだ低いままだ。さらに、就学率の測定からは、本質的に教育機会が提供されているとは判明できない。なぜなら、年度にわずか1日だけ学校へ来たのかを測定したものであり、定期的に通い、どんな内容の教育を受けているのかを調べていないからだ。

学校に通えない原因として、3つ挙げられる。「貧しいこと」「農村部に住んでいること」「差別されていること」だ。2012年にプランがアフリカ7カ国を対象に行った調査では、以下の課題が分かった。

・初等教育の費用は無償だが、制服や学用品、通学費などが高い(ガーナの子どもたち46%が回答)
・教員からの虐待や性的暴力(トーゴの子どもたち16%が同級生を妊娠させた相手を教員と回答。教育から暴力を受けていると述べた子どもは、ガーナで75%、セネガルで80%)
・妊娠の危険性があり、親が学校に通わせない(ガーナでは83%の親が回答。一部の国では、学費や教材費を捻出するために売春をすることが、たとえ否定的に見られようとも、一般的な慣習となっている。女の子が果たせる役割は妻や母としてのもののみであるという考えが、女の子の社会進出と教育目標に悪影響を与えている)
・家事に費やす時間の多さが、女の子の学習能力に悪影響を与えている。(ギニアビサウでは、女の子が一日平均8時間を家事に費やしている一方、男の子たちは3時間しか費やしていない)」

プランでは、「貧しい両親が、長期的投資である教育から最も見返りを得られそうなのはどの子かと判断を下す際、女の子は子守としてすぐに役立ち、花嫁としての価値を持ち、家事やそのほかの労働で家庭に貢献することができるため、教育によって将来得るかもしれないという不確実で保証もない利益と比較すると、女の子はその労働力のほうが貴重だとみなされる場合がある」と述べている。

■学校に通えるようになったら

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