「売名行為」「偽善」――ボランティアで骨髄バンク推進活動にかかわり出した1990年代には、芸能関係者らに、これらの言葉を投げかけられた。当時所属していた事務所の社長からも怪訝そうな顔で、「何でボランティアなんてしているの?一銭も儲からないんだよ」と言われたこともあった。

周りからの批判を受けても刀根さんが続けてきた理由は、「知ってしまった責任」と話す。「始めたからには、中途半端では辞められない。自分自身の中でも責任がある」。

ボランティアを続けていくうちに、仲間からは人と人とのクリーンな付き合い方を学んだ。「ボランティア活動にかかわる前は、暗くて友達のいなさそうな人たちの集まりなのかと思っていた」と話す。

しかし、実際に参加してみると、利害関係のない付き合いがあり、「一人ひとりが輝いて見えた」と振り返る。以来、ボランティア活動にのめり込み、2002年、患者遺族とボランティアで結成されていた「骨髄バンクボランティアネットワーク」の代表となる。

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