鳥取県では2008年に、「手話は言語である」と決めた将来ビジョンを策定しており、全国の自治体や福祉関係者から注目されていた。この背景もあり今年1月、日本財団と全日本ろうあ連盟の久松三二常任理事、鳥取県ろうあ団体連合会の石橋大吾事務局長で、平井知事に手話言語条例の制定を打診していた。

今春には、日本財団は手話言語条例制定への研究会を立ち上げた。9月30日には日本財団の尾形武寿理事長が鳥取県を訪れ、平井伸治知事、鳥取県ろうあ団体連合会の石橋大吾事務局長と条例制定後の施策について意見を交わした。

3者の鼎談では、聴覚障害者と県民が積極的に交流することがカギとなると話し合われた。尾形理事長は、「私たち市民がほんの少しの手話を知ることで、ろう者の社会参加が進む」と期待した。

石橋局長は、条例が持つ意義として、3つ挙げた。1つ目は、聞こえる人と対等な生活が可能となること、2つ目は、生活の多くの場で情報保障が確立されるようになること、3つ目は、手話を学ぶ環境が教育現場にも今後、導入される可能性が高いことだ。「ろう者は聞こえないだけで敬遠されてきた。条例の制定が世の中を変革する力になる。まずは、ろう者を知ってもらうことが何よりも大切」と訴えた。

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