縁もゆかりもない土地で、若者たちは何ができるのだろうか。これから紹介する文章は、東日本大震災で被害を受けた岩手県陸前高田市広田町に1~3週間滞在した学生たちが執筆した体験記である。
学生たちは、今夏、NPO法人SETが主催するチェンジメーカープログラムに参加し、人口3500人余りで、60歳以上の人口比が5割を超す陸前高田市広田町で「自分にできること」を探した。
広田町は震災が原因で、死者・行方不明者が50人を超え、1112世帯中400の世帯が全壊・半壊となった。約9割の人が漁業関係の仕事をする港町だが、津波で多くの船が流された。
この町に、約半月ほど滞在した彼らは、町の課題を見つけ、解決するアクションを考えた。コンクリートに囲まれた都会で育った若者たちが、自然の中で生きる町民と信頼関係を築き、成長していく姿から何が見えてくるだろうか。(オルタナS副編集長=池田真隆)
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わかめ作業にゲーム性を取り入れるプログラムを地元の方々に提案しました。しかし、「こっちは生活をかけている。ふざけるな」「漁業を卑下している」という声を頂きました。その際に、自分の考えの浅さを反省して、一から目的を見つめ直したのを覚えています。
笑顔にしてどうしたいの?笑顔にして終わりでいいの?――山田祥子
関わってくれた人たちをみんな笑顔にしたいと思っていた中、投げられた質問。「笑顔にして、どうしたいの?笑顔にして終わり?」…たしかに。ただ笑顔にするならべつに難しい事じゃない。愛想笑いだって、考え方次第では笑顔だ。笑顔の先に何を残したいのか。
このような考えは、都内に住んでいたままでは思いつくことができなかったし、また他者からこのような考え方を聞かされても理解できなかったに違いない。しかし実際に現場の状況を見たことによって、例えば一本松に関して別の考え方を得ることができたように、自分自身の中で価値観の変動が起きた。
このプログラムに参加する前から、「地元で産業を盛り上げて活性化させたい!」という気持ちがありました。しかし、周囲の人に言われたのは、「どこか君の言葉は薄っぺらい」という言葉でした。なぜ薄っぺらいのか?モヤモヤしている自分がいました。