札幌市中央区大通りビッセ2FにあるYUIQ(ユイク)は日本各地のこだわりのものを集めたユニークなショップだ。300メーカー、20000点を超える食材やアイテム、作り手の想いを込めた商品が棚に並ぶ。北海道の良いものを提供するだけではなく、全国各地から、衣食住にかかわる、日本の良さを取り込んだライフスタイルを提案している。この店は、環境にやさしい、安全、ぬくもり、そのものの背景にある伝統工芸や歴史など、商材そのものからにじみ出る物語を大切にしている。(オルタナS北海道支局長=横山光紀)
開店以来、ショップの知名度と人気が上がるにつれ、ユイクに扱ってもらおうと商品の売り込みも増えてきたが、厳しく商品を選んできたという。「おもわず触りたくなる、そして、自分が使っているシーンが触れるだけで想像できるような商品選びを心がけています」2010年の開店当時からのスタッフで、今ではバイヤーを務める佐々木亜紀さんは商品選びについてこう語る。
ユイクの店内を見渡すと、派手なデザインの商品は少ない。しかし、使い手が実際に使用したときの姿や振る舞いも合わせて想像できる商品が多い。日本特有の木のぬくもりや、ものを大切に扱ってきたという歴史や文化が商品からにじみ出る。
ユイクが入っている大通りビッセは、札幌の新しい札幌駅前通りと大通り公園の交差点に位置し新しいランドマークだ。ユイクの客層はこれまで、40代後半が中心だったが、日本の良いものが手に入る人気店として海外からの観光客も口コミにより訪れるようになった。
しかし、まだ課題もある。商品棚の並べ方一つで、売れ行きが大きく変わることもあるからだ。北海道の店であるから、北海道の作家やメーカーの商品は特にわかりやすく工夫され、プライスカードには、北海道のマークを施す。
「せっかくの仕入れてきた良い商品、すべて手に取って注目していただきたいと考えています。でも、限られた店舗スペースの中で、注目されないものもあります。お客様にまんべんなく良いものを伝えていきたい」佐々木さんは語る。
その中でも佐々木さんおすすめのブランドが和飾(わしょく)だ。利用されず捨てられた着物が、新しい形でよみがえっている。反物の端切れからつくられる為、一つ一つがすべて貴重な一点ものの商品となっているのも和飾の魅力という。
このブランドは、素材として日本を盛り込むだけではなく、「大切なものを大切に使ってきた」という日本の文化も盛り込んでいるという商品にこめられた想いが、佐々木さんが、おすすめしている理由だ。
和飾をプロデュースしている川村彰さんにも話を聞いてみた。「日本の良さを新しい形で海外に発信したかった。ユイクには、海外からの顧客だけではなく情報感度の高い日本人も多く訪れる。和飾を扱っていただくには最適のお店だ」と、川村さんは語った。まさにこの商品は「おもわず触りたくなる日本」を代表するものといえるだろう。
この商品も最初は販売に苦労した。だが前述の佐々木さんがディスプレイに工夫をすることで、今では常に品薄状態の商品となっているという。日本的なものを、自分たちのライフスタイルに自然に取り込む北海道民が北海道の良さを知らない、日本人が日本の良さを知らない。同様の話が全国各地から聞かれてくる。感性の赴くまま、ユイクで触れたものから北海道の良さ、日本の良さを感じてみるのも良いだろう。
YUIQホームページ:http://www.yuiq.jp/
記事で取り上げた和飾のホームページ:http://wa-shoku.com/