サンタクロースの衣装といえば、おなじみの赤と白のマントだが、今年は着れないかもしれない。そのため、現在衣装作りに精を出している若者がいる。クリスマスの日に、ボランティアでサンタクロースの格好をして、プレゼントを届ける活動を行う清輔夏輝さん(29)だ。(オルタナS副編集長=池田真隆)

チャリティーサンタ代表の清輔さん

清輔さんが行う活動の名称は、チャリティーサンタ。依頼のあった家庭へ、サンタクロースに扮した大人たちがプレゼントを届ける活動を行っている。2008年から活動を開始し、これまで5000人以上の大人たちが参加している。

サンタクロースを呼ぶには2000円が掛かるが、その収益金で、途上国のストリートチルドレンを支援する団体への寄付や東北支援活動を行ってきた。

6年目となる今年は、札幌から福岡まで全国17支部で、約1500人のサンタクロースを集め、1000宅の子どもたちにプレゼントを届けることを目指す。サンタクロース役に応募してきた大人は、今のところ800人ほどで、着々と人数は集まっている。

しかし、肝心の衣装が足りていない。同団体では、665着の衣装を管理しているが、そのうちの2割は、5年ほど使われてきて、色が黒ずんでいたり、穴が空いていたりとボロボロな状態だ。

そこで、この機会に一新するために、2014年までに1000着の新衣装を集める計画を立てた。衣装の作り手は、25年間、ネパールで教育支援活動を行うNGO Blue Poppy(ブルーポピー)だ。

ブルーポピーが運営する製造工場での売上の一部が、現地の子どもたちへ教育費として使われる仕組みだ。1000着の予算は400万円。クラウドファンディング「Makuake」(マクアケ)で12月26日まで資金を募っている。6日時点では、86万円を達成している。

寄付は2000円からできるが、8000円からで、「一着オーナー」になれる。衣装に名前を彫ったタグがつき、証明書が届く。

清輔さんが、チャリティーサンタの活動を始めたきっかけは、6歳のころにサンタクロースが家に来てくれたことだ。この感動体験を次の世代にも伝えたいと動き出した。

現在は、フリーランスとして講演活動とともにチャリティーサンタを運営しているが、来年春にはNPO法人格を取得して本業としてあたっていく。

サンタクロース役には男性が、サポート役には女性がつく。ボランティアとしてのかかわりだが、応募した人のほとんどが社会貢献活動をしたことがないという。「ワクワクする」「子どもたちを喜ばせたいから」という理由で20代から30代を中心に集まってくる。

「子どもたちはサンタクロースの予期せぬ登場に驚き、一生忘れられない思い出となるが、プレゼントを渡した大人たちにも一生忘れられない思い出となる。大人たちも子どもにプレゼントを渡す前はドキドキしているもの(笑)」と、清輔さんは話す。

今年12月24日の夜18時から21時にかけてサンタクロースたちはプレゼントを届けに各家庭に行く。清輔さんは全体管理役なので、実際に届けに行く事はしないが、依頼のあった各家庭、約2000宅へそれぞれ御礼のメールを送る。

そのメールには、心温まる返事が来る。例えば、千葉に住む、ろうの小学生の母親からは、「手話で楽しそうにサンタクロースと会話する姿に、涙がとまらなかった」とメッセージが来た。

その子どもは、普段から大人と会話することが極端に少なく、両親や学校の先生のみで、母親は心配していた。母親から依頼が来たときには、手話のできるサンタクロースを希望しており、ボランティアの中で、手話のできる人を見つけて割り振った。

手話でサンタクロースを表すには、右手で「おじいさん」を、左手で「幸せ」の意味を伝え、組み合わせる。母親からのメッセージの文末には、この意味の通り、「今年一番の幸せな日になった」と書き記してあった。

今回、初めてサンタクロースの衣装を一新するため資金の協力を求める。「大人が変われば、子どもが変わる。子どもが変われば、未来が変わる。子どもたちが笑顔になれる社会のため、私たち大人が行動していきたいと思っています」と清輔さんは訴える。

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