手縫いアクセサリーやTシャツ、ペンスタンドなどを展開するブランド「equalto(イクォルト)」製品の本格発売が2月3日、始まった。これは認定NPO法人難民を助ける会(AAR Japan)、アクセンチュア、アッシュコンセプトの3社・団体で起ち上げたブランドで、宮城県と福島県にある4つの障がい者就労施設から販売される。障がい者就労施設による雑貨の生産販売はこれまでも行われていたものの、経済的な自立を実現するほどの収益は上げられないのが現状だった。それを打破するためにデザイン性を高めブランド化による付加価値付けを試みる。(オルタナS特派員=佐藤理来)
厚生労働省が報告する調査(平成22年)では、障がい者就労施設で働く人たちの賃金は月額平均13079円と非常に厳しい。丁寧な作業のおかげで品質こそは高いものの、他の製品と競合した際にデザインなどの面で見劣りしてしまうこともあり、それがこの結果につながっていたと考えられる。
3社は障がい者就労施設で製作する新たな商品の企画・アイデアを募るコンペ、「アートクラフトデザインアワード」を開催し、2013年1月~2月の間に応募された作品382点の中から厳正な審査を経て10の作品が選定。意匠権など審査をクリアした5点が製品に決まった。これらは全国のセレクトショップやアッシュコンセプトのオフィシャルサイトを通じて一般販売となる。
側面が紙になっていて簡単に破くことができる「Pos木と紙の貯金箱(1800円)」や、肩部分に点字がプリントされた「Braille点字Tシャツ(3000円)」など見た目のデザインだけでなく、コンセプトとしてユニークな製品も多い。
今後の展開としては、全国での販売が決定したイクォルトは今後4月1日に難民を助ける会からNPO法人ディーセントワーク・ラボに生産、販売などブランド事業のすべてを譲渡される予定。ディーセントワーク・ラボは障がい者支援などの領域で豊富な経験と高い専門性を持つ。更なる発展が期待できそうだ。