ベルギー議会下院は、現在国内で認められている安楽死の権利を18歳未満にも拡張することを可決した。子どもの安楽死は、オランダが12歳以上からの適用を既に認めていたものの、年齢の縛りをなくすのはベルギーが初めて。安楽死を権利と捉える一方、判断能力の図り方や倫理的な視点をめぐって議論となっている。(オルタナS特派員=佐藤理来)
この法律で安楽死の適用には、本人に十分な判断能力があること、耐え難い肉体的苦痛があること、などが条件。両親の同意と医師団の承認も必要だ。この制定には医療関係者らが権利の拡張を求めていた背景があるが、抗議の声は他の医療関係者からも上がっている。
安楽死における判断能力の有無や意思確認は、成人患者でも問題点を抱えており、都合のよい拡大解釈によってさまざまな難病の子どもたちが安楽死を適用されるのでは、と懸念されている。
ベルギーでは安楽死の同意とともに臓器提供の可否も確認されており、同時に臓器提供を決めた人の安楽死を手術室の近くで行い、心臓停止を待って臓器を取り出したケースがあったことが報告されている。