デンマークのコペンハーゲン動物園が、2/9雄のキリンを殺処分したことで、国際的な非難を浴びている。動物愛護団体などがインターネットで呼びかけた中止を求める署名には2万7000人が集まっており、処分後は職員に対して電話やメールでの脅迫があったという。(オルタナS特派員=佐藤理来)

殺処分となったのは18か月の雄のキリン、マリウス。空気銃で殺処分されたのち、園内のライオンなどの動物に餌として与えられた。処分の理由は「近親交配の防止」と説明。動物園として「種の保存」を遂行するには、多様な血統を保持する必要があり、マリウスを交配に参加させることはできなかった。また、避妊手術をしてもその分余計な飼育場所や費用がかかってしまう。

解体や餌にする様子を公開したのは、関心を持ってくれた人に「現実」も見せるため。解剖がどのように行われ、動物園の獣医の仕事とはどんなものかも含めて伝える狙いがあった。

他の施設への譲渡や避妊手術では、実際は問題を先送りにするだけだ。現行の仕組みの中で、起こり得るすべての影響を考えた上での判断だったとはいえる。マリウスのようなケースは例外的な訳ではなく、現行の仕組みではヨーロッパ全体の動物園で少なくても7500匹が判断を迫られ処分されていると主張する団体もある。