横浜の看護福祉高校を今年3月に卒業した下城茜さん(18)は3月4日から14日にかけて、東北8カ所で小学生を対象にした絵本作りワークショップを開いた。冒頭3ページまではストーリーが描かれているが、そこから先は子どもたちに自由に考えてもらう。「自分の頭で考えたことを伝えることが大切」と話す。(オルタナS副編集長=池田真隆)

子どもたちに絵本を読み聞かせる下城さん

ワークショップの狙いは、子どもたちの想像力の解放だ。冒頭3ページまで描かれた3種類の絵本があり、子どもたちはその中から一つを選んで、続きを描いた。絵を描く以外にも、シールや雑誌の切り抜きを貼り付けてもよい。

子どもたちはテーブルに5人一組で座り、高校生のファシリテーター一人が付いた。ファシリテーターの役目は、子どもたちの緊張をほぐすためなので、絵本作りに関する助言は一切禁止だ。

ワークショップで使用する3種類の絵本とは、「クマが森の中で宝箱を見つけた」「クマが雪だるまをつくった」「ロボットがロケットを見つけた」――という内容だ。子どもたちはこの続きを1時間半~2時間で創作した。

3月4日から14日まで、岩手県大船渡市や宮城県気仙沼、福島県南相馬市など8カ所の学童クラブなどで開き、合計100人の子どもたちが参加した。作った絵本は家に持ち帰り、親子で読み聞かせるように伝えた。

下城さんがこの活動を始めたのは、2013年10月。友達10人ほどに声をかけ、学生団体「ぶっくらいく」を立ち上げた。2013年10月から毎月1回のペースで神奈川を中心にワークショップを行ってきた。

新たな発見につながる本を、子どもたちにも好きになってほしいと、下城さんは言う。「幼い頃、母親に絵本を読み聞かせられて育ち、この経験から本が好きになった。子どものうちから親子で絵本の読み聞かせを積極的にしてほしい」。

東北で開催するため、交通費や材料費などの経費はクラウドファンディングサイトで集めた。30日間で39人から合計22万円が寄付された。

今後は、ワークショップの全国展開を目指す。ファシリテーター役を務める地元高校生に運営を任せ、自主開催できる仕組みをつくる。そのため団体メンバーも募集中だ。