老舗子ども服ブランドのギンザのサエグサは、環境や社会貢献活動に取り組むキーパーソンを招いた対談企画を行っています。今回、ゲストに招いたのは、エシカル消費の普及啓発活動を行う末吉里花さん。エシカル消費を普及するにあたって、「買いましょう」ではなく「知りましょう」と伝えています。
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環境保全、環境教育などを通して社会貢献に取り組むさまざまなスペシャリストに、ギンザのサエグサの三枝亮社長が話を伺う「Green Dialogue」。記念すべき第10回のゲストは、一般社団法人エシカル協会代表理事の末吉里花さんです。末吉さんは、「エシカル消費」の普及啓発活動を行うとともに、エシカルの「案内人」を育成する「エシカル・コンシェルジュ講座」も開いています。
「買いましょう」ではなく「知りましょう」
――エシカルとは何でしょうか。最近よく耳にするようになりましたが、改めて教えていただけますか?
末吉さん:エシカルは直訳すると倫理的という意味を持つ形容詞です。良心から派生した社会的規範のようなものです。よく、社会のなかで言われている定義は、「人や地球環境、社会や地域に配慮した行動」。なかでも、私は「消費」に着目して、取り組みを行っています。
経営者も主婦も学生も、消費者です。もっというと、全世界の人が消費者です。すべての人に日々の暮らしのなかで、エシカルを意識してほしいので、エシカル消費の啓発を行っています。
――確かに消費は、あらゆる世界で行われていますからね。一人ひとりが気づき、意識をもって行動することで社会が変わっていくということですね。
末吉さん:はい、そうだと思います。エシカル消費の啓発を行うようになって問題に感じているのは、消費者が問題を見る機会が少ないということです。つまり、企業が商品の背景をほとんど公開していないし、商品に記載してあるわけでもない。だから消費者が知らないため、問題が問題になっていないのです。
消費の裏側で、どんなことが起きているのか、問題をまず知りましょう、と呼びかけています。つまり、エシカル消費をたくさんしましょう、というより先に、生産の過程を知ることが大切だと思います。
――「買いましょう」ではなく「知りましょう」という呼びかけで、参加ハードルを低くするという視点はいいですね。ところで、多くの消費者が気付いていない生産にまつわる問題とはどのようなことでしょうか。
末吉さん:大きく分けて3つあります。1つ目は、二酸化炭素の排出によって起きる気候変動。2つ目は、児童労働や搾取労働などの人権侵害。そして、最後は生物多様性。事業を通して資源を奪うので、他の生き物にとって生きづらい環境にしてしまっているのです。
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