ニュージーランドの環境アーティスト、マーティン・ヒル氏は10月1日、東京・武蔵野市の成蹊大学で講演会を行った。マーティン氏は「水の循環」をテーマとした作品を紹介しながら、環境破壊を繰り返す近代社会のシステムに対して異議を唱えた。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
マーティン氏は、1946年にロンドンで生まれた環境アーティストだ。イギリスやケニアなど各国の山を登るうちに、環境問題に目覚めた。1976年には、ニュージーランド・オークランドに移住し、環境アート制作を行うようになる。
講演会では、2012年から1年をかけて完成させた、「分水嶺・WATERSHED」プロジェクトの作品を紹介した。分水嶺とは、山頂などに貯まった雨水が2つ以上の異なる水系に分かれている状態のこと。
同プロジェクトでは、ニュージーランドの南アルプス・アルバート バーンサドルの分水嶺を水源とする峰や雪原、小川を探検。分水嶺から流れる水の循環にインスピレーションを受け、作品を制作した。作品には「水系を守ることが、生命を守ること」というメッセージを込める。
マーティン氏は、地球温暖化や環境汚染、水問題などの社会問題を例にし、「今、文明は分水嶺に立っているようなもの」と話した。「経済優先の道ではなく、自然のシステムとともに生きていかなくてはいけない。このままの勢いで、自然資源を消費し続ければ、地球が2個以上ないと暮らせないことになる」。
国際NGO・ WWFは8月19日、同日が「アース・オーバーシュート・デー」であると発表した。「アース・オーバーシュート・デー」とは、人間による自然資源の消費量が、地球上の生態系が1年間に再生産できる資源の量を越えたことを意味する。2000年は、10月1日に「アース・オーバーシュート・デー」を迎えており、年々早期化している。
*記事中のマーティン・ヒル氏の作品写真の無断転載を禁じます
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