2011年5月27日、熊本県水俣市が丸島新港で全国初の波力式発電の実証実験を開始した。総務省が行う緑の分権改革推進事業を活用し、大学などと取り組んでいる。実験では小さい波でも発電でき、低コストでもある「つるべ式」が用いられた。

つるべ式の装置は、直径1メートル、長さ2メートルの浮き材(フロート)と重りをワイヤーで海面につり下げ、波でフロートが上下すると発電機が回る仕組み。設置費用は約600万円。総開発費用も従来の技術が数億円規模であるのに対し、約2500万円と低コストだ。また、高さ10センチの波でも発電することができるため、発電効率が良いのが特長だ。発電量は最大1キロワットだ。

波力発電と太陽光発電を組み合わせた電力は漁協の養殖場のポンプに使われる。将来的にはこの養殖場で育ったヒラメなどに環境負荷価値をつけて販売することも検討しているという。

発電状況はオンライン(http://61.214.231.171/)で1か月間、随時確認できる。水俣市は今後、波力や太陽光、燃料電池を組み合わせたスマートグリッドにも取り組んでいく。(オルタナS編集長 猪鹿倉陽子)