日本の最も埋もれた資源と言われる女性の力を発掘するには、情報の共有やマッチングなどに強みを発揮するITの活用がカギとなる。そんな考えのもと、新たな団体が立ち上がった。ITで女性の再雇用を支援する「一般社団法人 女性と地域活性推進機構」だ。1月15日に設立され、5月29日には設立記念パーティーを大阪市内のホテルで開催。112人が参加した。同機構は、女性の人材育成と、子育てや介護事業を行う企業の両方をITで支援することによって、女性の再雇用の機会を創出する。(オルタナS関西支局長=神崎 英徳)

挨拶に立った堀内智子代表理事

出産や家族の介護によって、働きたくても働けない女性は多いが、ITで情報共有することにより、短時間労働やワークシェアが可能になり、埋もれていた女性の労働力を生かすことができる。

こうした観点から、同機構はSNS形式のeラーニングシステムを用いたセミナー、カウンセリングや職業適性診断などを通して、女性の人材育成を促進。また、企業に対しては、ワークシェアリングの仕組みづくりのためのIT支援、ポータルサイトの運営や広報活動の支援を実施する。さらに、女性の再就職や新卒採用のマッチングサイトも運営。女性が仕事と生活を両立できる雇用や働き方を実現していく。
 
設立記念パーティーで行われた基調講演では、企業の社会化支援を行っている京都産業大学経営学部・大室悦賀(おおむろ のぶよし)准教授が、これから求められる企業のあり方について講演した。

設立記念パーティーの様子

大室准教授は、社会問題の原因が、企業の効率主義や株主重視の姿勢にあると指摘し、社会問題の解決や企業の持続的な成長を実現するためには、企業が社会的な観点を身につけ、イノベーションの芽を見つけることが重要だと述べた。

男性と比べ、家事と仕事の両方にかかわることが多い女性は、地域の困りごとを解決するソーシャルビジネスの有力な担い手になると語った。