6月24日閣議決定された「第二次安倍内閣の経済財政運営の基本方針(骨太の方針)」で、初めて寄附に関する事項が盛り込まれた。地域開発の要であるNPOやソーシャルビジネスを支えるため、寄附文化を育ていく。中でも、スポーツの大会を通して寄附を募る「スポーツドネーション」が注目されており、東京オリンピックまでにスポーツドナーを1000万人に増やすため、小委員会が設置されている。(オルタナS編集部=佐藤 理来)

27日行われたプレスセミナーでは、クラウドファンディングサイトのJust Giving Japan(ジャストギビングジャパン)の佐藤大吾代表理事と、日本ファンドレイジング協会の鵜尾雅隆代表理事が、イギリスで特に活発なスポーツドネーションを中心に、「日本における寄附文化の醸成」について解説した。

「小泉政権で多くの規制緩和が行われました。成長を促すためではありますが、一方で生まれてしまう弱者のフォローが必要になります。そこに寄附の力が必要なのです」(鵜尾代表)

「スポーツドネーション」はスポーツ種目への寄附とは限らない。たとえば、ロンドンマラソンでは、毎年世界最大規模のスポーツドネーションが行われている。選手は特定の団体への支援を掲げながら走ることで、寄附を集める。寄附先にはスポーツに関係のない団体も多い。2012年は5280万ポンドの寄附を記録し、ギネスブックにも掲載されている。

日本では寄附=清貧の印象がどうしても強い。しかし、「寄附文化の活発なイギリス圏などで、寄附はきれいごとなどではなく、上手に欲望をついた形になっている」と佐藤代表は言う。

約35000人の出場枠があるロンドンマラソンだが、約1万5000人分が現地NPOなどに分配されている。こうした団体が一定額(相場は1800ポンドほど)の寄附を条件に出場権を「転売」することで、スポーツドナーを生む。選手は出場のため、支援する団体のためにお金を集め、大会に参加する仕組みだ。

「2020年東京オリンピック・パラリンピック大会推進議員連盟1000万人スポーツドナー小委員会」は6月4日に開設された。今後3か月ほどかけて議論を進める。2015年には具体的な寄附活動を始めるのが目標だ。