エイズ孤児支援を行うNGO・PLAS(プラス)はクラウドファンディングで、ウガンダに住むHIV陽性のシングルマザーに仕事をつくりだす企画に挑戦している。同地に住むシングルマザーの年収は2万円ほどで、子どもたちの教育費を払うことができず、通学を諦めざるを得ない状況にある。現地で仕事を生みだし、子どもたちに教育を届けることを目指す。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
同団体がクラウドファンディングで掲載している企画は、エイズ陽性のシングルマザーにペーパービーズづくりの技術を与え、収入を増やすものだ。今企画の対象となるのは、ウガンダ共和国・ジンジャ県とルウェロ県に住むシングルマザーたち。彼女たちは、農業や露天を営んでいるが、年収は平均2万円ほどだ。
同国では、学費は政府が全額支援しているのだが、小学校に通わせるためには校舎の修繕費やノート代、受験費を支払わなければいけない。低学年で5700円、中学年で6,700円、高学年で11,400円が年間でかかるとされている。
そのため、母親たちは自らの子どもに、「通学を諦めてほしい」と説明しなくてはいけない。プラスの門田瑠衣子代表理事は、同国の母親と話しながら、「自分の息子に小学校を辞めてもらうしかないと話さなければならない日が来るとしたら、どんなにつらく、なさけなく、申し訳ない気持ちになるだろうか」と思ったという。
そこで、シングルマザーの自立支援になる企画を立てようと決意した。クラウドファンディングでは、200万円を目標に集めている。同企画が成立すれば、11月には15人のシングルマザーに仕事を生みだし、2015年4月に、さらに15人を雇用する予定だ。これによって、約100人の子どもの就学支援を行う。
シングルマザーたちが作ったペーパービーズは、主に日本で販売する。販売方法は、ネットやイベント時で、プラスの関係企業に卸すことも検討中だという。
ウガンダでは、小学校に通う生徒の4人に1人しか卒業できないでいる。残りの3人は、家庭の経済的事情で中退を余儀なくされる。教育を受けていないことで、読み書きができず、仕事が制限され、生活面でも支障をきたす。プラスの門田代表理事は、「小学校教育を受けていないことで、エイズの危険性を知らず、薬を処方してもらっても飲み方すら読めないでいる。将来就ける仕事も、男の子だったら単純労働で低賃金の力仕事で、女の子だったら売買春などと限られている」と話す。
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