東北地方太平洋沖大震災で被害を受けた被災地に赴き、復興支援活動をした若者が現地に行って実際に感じた思いをありのままに語る座談会の第四回目。

今回のテーマは「震災から4ヶ月たって今思うこと」

震災から4ヶ月たったが被災地ではまだまだ厳しい生活が続いている。しかし、世の中ではすでに震災が風化されかけている。そんな社会に対して率直に思っていることを話してもらった。マスメディアのあり方について、価値観の変化について、これからの社会について、震災で浮き彫りになったあらゆる問題を若者なりに大胆に、そして痛快に切る。

*語り手

*米原幹太 若者会議運営者

twitter:@nandakandakanta

上関原発の工事一時停止と、埋め立て許可取り下げを求めて、山口県庁前でのハンガーストライキなど、社会問題が起きている場所に自ら足を運び感じたことを若者に伝えている。


 

 

 

 

*赤塩勇太 青山学院大学3年 学生団体参考書宅救便代表 twitter:@akashio0514 震災を受け、首都圏の大学生を中心に全国から参考書を集め、被災地の受験生を支援しようとの思いから始める。全国から参考書を募り今までに1万冊集まる。被災地から要望があり次第東京の事務所から届ける仕組みである。

 

 

 

 

 

*三井俊介 法政大学4年 学生団体WorldFut共同創設者 学生非営利組織SET共同発起人 個人blog 「生まれ行く光の中で」 twitter:@shunsuke_1223

企業、NPOと協力して支援物資の搬出、搬入を行い、これまでに衣類中心に約1000箱以上を届ける。また、三井自身がSETを代表して単身で岩手県陸前高田市広田町に現地入りして、ボランティア体制の構築を築くことに成功する。広田町の方と信頼を築きあげたからこそできることを、学生の強みを活かして取り組んでいる。今夏にはボランティアツアーも実施する。

 

 

 

*聞き手 池田真隆 オルタナS編集員

震災から4ヶ月が過ぎました。多くの隠れていた問題が浮き彫りにされた4ヶ月だったと思いますが、今の世の中をどう思いますか。

米原「震災当初にあった危機感が薄れているように感じます。例えば福島の原発は今でも危険な状態にあって、もしかしたら水素爆発が起こるかもしれないのに、そういう状況に慣れてしまっているように感じます。」

赤塩「そうですね。震災に対する意識の低下は明らかですね。」

三井「その原因としてよく挙げられるのが、マスメディアが震災関連、原発関連のことを扱わなくなったということ。でも俺はそうは思わない。実際、新聞は毎日震災被害状況、エネルギー問題、放射能問題が多く掲載されてるし、テレビも震災特集を組んでいる。それなのに、特に若い世代が口を揃えて『マスメディアが取り扱わなくなった』と言う風潮は、新聞やテレビをいかに見ていないかの反映であり、ある意味怖さを感じる。」

赤塩「そうやってマスメディアのせいにして、自分の意識の低下と向き合わないことは問題ですね。」

米原「これからはもっと情報に敏感になっていくべきだと思います。おれはマスメディアのことをどうこう言うつもりはないですけど、自分が知りたいと思った事を知れるツールを持っているかが大事になっていくと思います。」

三井「ツールとはどういう事?」

米原「例えば三井さんは陸前高田市広田町に何回も行き、詳しく知っている。だから広田町のことを知りたかったら三井さんに聞けばいい。そうゆうふうにして、人脈やネットを駆使して情報ツールを増やしていくことが大事だと思う。」

赤塩「これからはマスメディアの発信する情報だけに頼っていてはいけない時代ですからね。いつまでも情報に受身ではなく、自分から動いていけるかですね。原発関連のマスメディアの公表の仕方についてはどう思いますか?」

米原「今回の震災でマスメディアの信頼度が落ちたのは確実。3月中には原発反対のデモ活動は至るところで開催されて、1万人動員したデモ活動もあった。それでも、当時のマスメディアは一切そのデモ活動を取り扱わなかった。何かの圧力がかかっていたはずである。でも、今は徐々に変化も起きてきて、有名タレントや歌手などが自分の職を投げ捨てて原発反対を叫んでいる。そして、そういう人についていくマスコミも出てきだした。」

三井「おれは今回の原発問題に関するマスメディアの公表の仕方はこれで良かったと思う。もし、はじめからレベル7と発表していたら国民はパニックになっていたかもしれない。今は、ソーシャルメディアが発達しているので、マスメディアが流した情報にソーシャルメディアで得た情報を掛け合わせて自分で整理していくときだと思う。」

米原「そうですね。実際デモ活動はソーシャルメディアで流れて知ったという方が大半です。」

三井「今のマスメディアを否定するのではなく、改めてマスメディアの立ち居地を見つめ直したほうが良いと思う。」

赤塩「そうですね。いつまでもマスメディアに頼るのではなく、自分から知りたい情報をキャッチしていかなくてはいけないですね。」

マスメディアに頼り過ぎたつけが出始めているように感じるのですが、どう思いますか。

三井「自分で知ろうとしない背景には自分自身の判断軸が無いことがあると思う。特におれらの世代は第二次大戦から戦後復興を遂げたあとの時代なので、わりと何も考えなくても小、中、高校にあがることができた。『豊かな社会』と言われる社会の教育を受けて生きてきた。だから、自分で考えることをしない、そんな思考停止状態に慣れている気がする。でも、今回の震災を機に社会全体を見つめなおし、既存の社会から変わる可能性が出てきたと思う。」

米原「おれもそう思う。震災が転換期になってくれると思う。今まで当たり前に使用できていたライフラインの満たされた生活がどれだけ恵まれていたのかもう一度原点に立ち返っていくときだと思う。」

赤塩「ぼくも人の価値感の変化は感じています。震災当初ボランティアを募集したところすぐに集まってくれました。しっかりした団体ではなくて、実態の不明な点が多数あったにも関わらず。」


(2)へ続く、、