大学生の海外インターンシップ。東京大学が秋入学を検討していることで、その動向には更に拍車がかかっている。その一方で海外から日本にインターンシップをしに来ている学生がいる。

今回は学生NPOアイセックの海外インターンシップを利用して、日本で昨年12月から5月までアクサスコンサルティングジャパン(東京・新宿)でインターンシップを実施した中国人学生の操蘇立(そうそりつ)さんにインタビューをした。海外インターンシップの社会的な有用性を伝える事が出来ればと思う。(聞き手・オルタナS特派員=五味裕史)


インタビューに答える操さん


——今回の日本での研修内容を教えてください。

操:「会社の運営しているサイトの開発に携わりました。 具体的には看護師さんからの問い合わせ獲得のための新しいウェブ機能開発です。内容としては病院の口コミ検索、看護師専用の給与診断です。また、現在研修先の会社が運営しているウェブサイトは素晴らしいものですが、携帯方面のサービスがまだ充実していませんでした。そこで会社の方から頼まれ、自分が開発に携わったウェブコンテンツのアンドロイドアプリを開発する勉強をしました。私は今までアンドロイドアプリを作った事がなかったので、一から勉強をしました」

——海外インターンシップをするにあたって、なんで日本を選んだのでしょうか。

操:「大学の専門がソフトウェアエンジニアリングでした。あとは大学で日本語の専攻だったことが理由として大きいです。私が住んでいる大連には日本企業の支社がたくさんあり、事業において中国の会社と日本の会社が協力しているケースがありました。これらの理由から将来就職活動にも役立つと思い、日本を選びました。また日本の漫画などの文化や雰囲気に興味がありました」

——研修生の視点から、企業が海外からの研修生を受け入れる意義を教えてください。

操:「グローバル化が進む中での日本経済成長のためや、外国人受け入れにより、価値観への影響や新しいアイディアの発見が見込まれることだと思います。 例えば、中国ではサイト上の広告にアクセスするとポイントが付与されるというサービスが流行っています。しかし、日本ではそうしたサービスがまだまだ少ないです。こうしたありそうでないようなサービス、アイディアが世界には沢山あります。そうした情報をもらえるのは非常に魅力的だと思います。あとは海外展開する時に役立つのではないでしょうか。インターンをする事により、優秀な研修生とのコネクションを作って、将来的に共同できるのも魅力的です」

——今回の研修でアイセックの「Peace & Fulfillment of Human Potential = 平和で人々の可能性が最大限に発揮された社会の実現」という理念は達成できたと思いましたか。

操;「まず可能性が最大限に発揮された社会の実現に関してですが、日本に来る時には自分が自分をとりまく世界の為に、具体的になにをしたら良いのか分からなかった。しかし、インターンシップで成果を見る事で自分の力であらゆる事を成し遂げる事が出来るという自信がつきました。平和の実現という事に関してですが、私は平和=人間関係だと思っています。研修のおかげで良好な人間関係を広げることができました。最初は感謝の気持ちを持つ事が出来ませんでしたが、最後にはあらゆる事に感謝ができるようになっていました。今回の研修とは関係ありませんが、自分が中国でアイセック活動をしている時に来ていた研修生が言った言葉が、「もし中国と自分の国の 間で戦争がおきたら止めろと政府に言う。なぜなら相手国に大事な友達がいるから」だった。国際交流による平和が実現できるのだと思う」

——実際に研修をしてみて日本のアイセックの対応はどうでしたか。

操:「本当に良かった。日本に来た時は成田まで迎えに来てくれたし、何からなにまでサポートをしてくれた。いろんなところに観光に連れて行ってもらって、本当に楽しい毎日でした。また、研修内容について改善出来る点を会社の方と会議をして必死に模索してくれた」

——研修で気づいた中国のいい点と日本のいい点を教えてください。

操:「日本のいい点は他の人に迷惑をかけない事や、ルールを守る事、時間を守る事が大きいですね。あとは、日本人は仕事を大切にしているようだけど、もう少し休んだほうがいいよ。働き過ぎだと思います。中国のいい点は若者がすごく頑張っていることかな。Made in China の悪いイメージを払拭しようとCreate in China を目指して頑張っています」

——最後に今回の研修で成長出来た点を一つだけ教えてください」

操:「自分の能力に自信が持てたことですね」

——半年間の研修生活本当にお疲れさまです。


【インタビュー後記】
日本国内にいるとどうしてもメディアバイアスによる、中国への悪いイメージを持ってしまう。しかし、個人レベルではそれは大分違うものであって、彼らは本当に勤勉で操さんも同じだ。特にCreate in China の文言は本当に印象的だ。こうした国際交流で、いつかボーダレスに異国の国々の人々の相互理解に成功すればと願っている。

○アイセック・ジャパン

アイセックは110 カ国に支部を持つ世界最大規模を誇る学生団体である。主幹事業として学生向けの海外インターンシップを展開しており、国内の学生を海外に送り出す事業と国外の学生を日本に受け入れる事業を展開している。2011年度は約400件の送り出し、約100件の受け入れを実績としている。

【HP】http://www.aiesec.jp/