沖縄県宮古島の「雪塩」のプロデュースをはじめ、全国30カ所の市町村で地域開発プロデューサーを務める成田重行氏は、地域おこしをするさいに3つのプロセスに気をつけるという。成田氏は、そのプロセスを、「根っこを見て、高いところに登って、最後においしいものを食べる」と表現する。地域発の商品を成功させる企画設計のステップを聞いた。(横浜支局長=武居 隼人・横浜国立大学教育人間科学部3年)
「根っこを見て、高いところに登って、最後においしいものを食べる」。これは、成田さんが大事にする地域開発の3つのプロセスだ。根っことは、その地の今につながる歴史のこと。地方の図書館には膨大な量の郷土資料が眠っている。地域開発の依頼を受けた成田さんは、これらの資料を丁寧に読み込むことから始める。そこにしかないヒストリーを見つける。
細かい作業の後に行うのは全体を広く俯瞰すること。近くの山に登って地形をみるのだ。歴史上の大名や武将がそうであったように、その地の地形や気候を把握することでその土地の特色をつかむ。
最後に待っているのが地元の人とのうまい飯。「データや資料も大事だが、そうはいっても外せないのが地元の人。出てくる食材、それを食べる人の笑顔。どれも大事な資料」だと言う。
3つのプロセスに共通するのは「学ぶ」姿勢だ。どのような土地であっても謙虚に学ぶことで新たな産業を見つける。こうした地道な調査を経て生み出される産業は、「今だけ、これだけ、ここだけのもの」になる。
一年を通して量産することはあえて目指さない。ゆえに、数にも限りがでてしまう。しかし、「だからこそ、ここ(その土地)にしかないものが生まれる」のだ。これこそが小さな規模で成功し続けるポイントだそうだ。