「ここには時々来ているんだよ~。このお兄ちゃん可愛い顔しているからね~」とビールを片手に冗談交じりで話すおじいさん。彼の愛称は「おじじ」。おじじと出会ったのはある晴れた月曜の昼下がり、横浜市中区石川町にたたずむ「ひらがな商店街アートスペース と」である。(横浜支局=大城 彩葉・横浜市立大学国際総合科学部3年)

「ひらがな商店街 アートスペースと」

「ひらがな商店街 アートスペースと」

ここは平日12時から18時まで絵本カフェとして営業。曜日によってカフェの内容や店長が変わり、様々な色を持ち合わせている。月曜は「途上国の魅力を楽しく美味しくエシカルに」をコンセプトとした国際協力カフェ。

おじじ一押しの月曜店長、田才諒哉さんは横浜国立大学の3年生で国際協力を学び、パラグアイなど南米における国際協力に携わってきた。カフェメニューにはマテ茶をはじめとするパラグアイの飲み物、パウンドケーキなどがある。

美味しいパウンドケーキと月曜店長の田才さん

美味しいパウンドケーキと月曜店長の田才さん

古き良きレコード音、心身ともにあたたまる飲み物、店内を見守るたくさんの絵本。ゆっくり流れる時の中で雰囲気やお茶を楽しむもよし、来ているお客さんとおしゃべりするもよし、絵本を読むもよし。ここでは新たな出会い、偶然性のつながりが日々生まれている。

かつて駄菓子屋さんだった場所は、アートリノベーション事業を展開する「nitehi works(似て非works)」の代表で美術作家の稲吉稔さんと、横浜で活動する画家の吉本伊織さんによって、人々の拠り所ともなる温かな空間へと生まれ変わった。

本とレコードも完備「ひらがな商店街アートスペース と」ではカフェ営業以外に、レンタルスペースとして場所を提供し、様々な教室やイベント・ワークショップを開催している。

「今と昔 町と人 物づくりと物がたり そんなことの真ん中に『と』があったらいいと願っています」。店主今井嘉江さんの言葉からは人やまちに対する暖かな想いが伝わる。

おじじの笑顔、「と」に集まる多くの人々によって今井さんの願いはカタチとなっているだろう。日々描かれる私たちのライフストーリー。そのライフストーリーの一コマに「ひらがな商店街アートスペース と」を加えてみると、今までになかった面白い展開がうまれるかもしれない。

今と昔、町と人の多くのストーリーが集まり、相互につながる空間。おじじが通う、ある商店街の、あるカフェに足を運んでみては?

お知らせ 「ひらがな商店街アートスペース と」はこちらへ


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