慶応義塾大学や北海道大学の学生からなる日中学生会議実行委員会は8月10日~27日にかけて、第34回日中学生会議を開く。同会議では、日本と中国の学生が2週間の共同生活を送り、歴史認識や安全保障、報道のあり方などについて議論する。1日6時間を議論に費やし、日中友好に向けて相互理解を深める。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
日中学生会議は日本の大学生有志団体によって、1986年に設立された。毎年8月に約2週間をかけて、日中の学生の交流を深めることを目指し活動している。開催場所は、1年ごとに日本と中国の交互で行われ、2015年は日本の広島・京都・東京を周る。
今年のテーマは、「論じ感じる、遠くて近い存在~向き合う日中、創り上げる未来へ~」。戦後70年を機に、両国の今後の関係をつくりあげていく。
同会議では、両国の学生は2週間、共同生活を送りながら、1日6時間のディスカッションを繰り返す。有意義な議論を展開するために、事前勉強にも力を入れている。8月10日から始まる同会議に向けて、3カ月前から備える。参加者は、「教育」「貿易」「安全保障」「情報」「歴史」「開発と環境」の6つの項目から1つを選び、週に1度のスカイプMTGや企業・有識者・官公庁へのフィールドワークを行う。
本番となる同会議で、事前に勉強した項目について、議論を交わす。議論で使用する言語は、日本語・中国語・英語のいずれか。議論だけではなく、観光も行い、同世代の参加者の絆を深める。
■教科書問題で議論噴出
「なぜ日本の教科書では南京大虐殺の説明をするさいに、『侵略』という言葉を使わないのか」――これは、昨年の議論で起きた一幕だ。歴史認識について議論を交わしているとき、両国の教科書の表記の違いについて議論は起きた。
中国の教科書では、南京大虐殺を説明するときに、虐殺された生なましい写真を掲載し、「日本軍の侵略により30万人が殺害された」と表記されているが、日本では、「進出」と記載され、殺害した人数もあいまいなままだ。この表記の違いについて、両国の学生たちは原因や背景を調べて、相手が納得するまで議論を繰り返した。
日中学生会議実行委員長の御器谷裕樹さん(慶応義塾大学法学部政治学科2年)は、政治における権力の定義について興味があり、同会議の活動に参加した。「異なる価値観を相対化し、両国への理解を深めてほしい」と訴える。
◆第34回日中学生会議への参加申し込みはこちら*締め切りは4月27日(月)
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