2020年以降の気候変動に関する新しい国際枠組みの合意を目指し、各国で議論が進められている。一部報道によると、日本では温室効果ガス排出量の削減目標が「2030年までに2013年比20%減」で調整されている。これに対し、環境NGOは「1990年比に換算すると約10%の削減にしかならない」として、強く批判している。(オルタナ副編集長=吉田広子)
国際的には、2015年3月末までに新しい気候変動対策目標案を国連に提出することが期待されていたが、日本はそれを果たせなかった。そこで、日本政府は6月のG7および国連気候変動会議までに提出することを目指し、議論を進めている。米国は2025年までに2005年比で26~28%減、EUは2030年までに1990年比で40%減をすでに表明している。
一部報道で、日本政府は「2030年までに2013年比で20%削減」で調整に入ったと報じられた。
これを受け、WWF(世界自然保護基金)ジャパン(東京・港)や国内11団体からなる気候行動ネットワークジャパン(京都市)は、「京都議定書の基準年である1990年比に換算すると、約10%の削減となり、日本が掲げる目標としては低過ぎる」として、厳しく批判している。
気候行動ネット―ワークジャパンは、「日本が40年間にたった10%しか削減できない国であると表明することは、気候変動交渉における日本の地位の低下が加速する恐れがある」とする。
「近年で最も排出の多かった2013年をあえて基準年にするという行為は、基準年をずらすことで低い削減目標をかさ上げして見せようという意図が疑われ、日本という国の信頼にもかかわる。基準年は、京都議定書以降の取り組みとの比較のしやすさから1990年か、IPCC第5次評価報告書でも頻繁に使用されている2010年を使用する方が、透明性の観点からは適切である」と続ける。
WWFジャパンも加盟する気候行動ネット―ワークジャパンは、日本の目標として、2030年までに1990年比で40~50%削減を提言している。この背景には、WWFジャパン自身が行った定量的なエネルギーシミュレーションがある。
WWFジャパンは、「このシミュレーションは、40~50%削減が、技術的にもコスト的にも十分可能であり、むしろ化石燃料をすべて輸入に頼る日本にとっては国益にかなう選択であり、あとは政治的意志の問題だけである」としている。
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