2015年夏、3つの非日常体験が開催される。これを読んでいるあなたは無人島に行ったことはあるだろうか?電気も水もなく、食糧は釣りやモリでの調達。完全なるサバイバル体験である。何もないからこそ、自分で何かしなければならない状況だからこそ生まれるドラマがあるに違いない。「無人島に行くと普段の生活で悩んでいたことがちっぽけに感じるんだよね」。そう語るのは7年連続で無人島プロジェクトを主催している梶 海斗さん(26)。(聞き手・オルタナS特派員=高柳 龍太郎)
——無人島に行こうと思ったのはなぜですか?
梶:もともと好奇心が旺盛で、みんなでキャンプしたいなと思っていた。けど、どうせやるなら誰もやったことのないようなキャンプをしたいと思ったときに無人島の事が頭に浮かんだ。たぶん、幼少期に読んだロビンクルーソーとか十五少年漂流記とかへの憧れがあったんだと思う。
——それで開催をすることを決意したと。
梶:そう。実際行けるか分からなかったけども、最悪どこかの島でキャンプすれば良いだろう!みたいな気持ちで、人口数10人ぐらいの小さい島に渡り、漁師さんを交渉したところ、行けることが確定したのよ。実際に行ってみたら、最高に楽しかった。タコが採れたり、魚が採れたりするのももちろんだけど、なによりも共同生活をすることがすごく楽しかった。だから毎年続けたいなと思うようになった。
最初は誰かに楽しんでもらうというよりかは、自分が楽しかったからやったみたいな感じ。みんなでまた行きたいなと。
——では、今まで7年間やってきて、一番やっていて良かったと思う瞬間はありますか?
梶:一番を決めるのは難しいからいくつかエピソードを話しても良いですか?
——はい(笑)
梶:毎年、最初の方にやっていて良かったと思う瞬間があって、それは船で島に向かう瞬間。このワクワク感はどのレジャーにも負けない。参加者も船に乗ったタイミングで、来て良かったって言ってくれる。冒険感、ワクワク感的にもやって良かったと思う瞬間。
あとは、無人島の過去の参加者にしばらくぶりに会った時に、「実は無人島に初めて参加したときの自分は、自分を見失いそうになっていた時期で、そんな状態で行ったけども、帰ってくる時に他の参加者から『あのとき、○○を手伝ってくれたのがすごく助かったよ』みたいな事を言われたことで、それが自分にとっての自信になった」と言われたこと。それを聞いたときに、もし自分が無人島を企画しなければ、こういったことも起こらなかっただろうなと思って、開催して良かったと思った。
瞬間じゃないけど、第一回参加していた人たちと今でもつながっていたりすることもやって良かったと思う瞬間。凝縮された経験だからこそ、すごく長く続く仲間ができる。
——無人島プロジェクトがもたらす社会的意義ってなんだと思いますか?
梶:これから学びというものが、ネットに代替されていって、誰でも得られるものになっていくと思う。だけど一方で、島で暮らすとか、魚を捌くとか、物を採ってくるとか、火を起こすとかっていうのは、やらないと分からない経験であって、それは実際にやらないとできない経験でもある。それを凝縮して、生きるために必要なことをシンプルに体験できるのは、この無人島プロジェクトなんじゃないかなと思っている。
だから、都会に住んでいて、あまり自然を体験したことのない人とかは来て欲しいし、生物として生きていくという事を学べる環境としての無人島プロジェクトはこれからも提供していきたいなと思っている。
——最後に、読者に向けて何か伝えたいメッセージとかありますか?
梶:やっぱり日常生活を送っていると、日々のルーチンとか、本当はやりたくないけどやらざるを得ないことがあったり、人間関係に困っていたり、日々のストレスっていうのは絶対にあると思っている。けど、全く関係ない非日常に行って、日常で抱え込んでいる事を捉え直してみると、「あっなんてちっぽけなことで自分は悩んでいたんだろう」って思うんよ。
自分も生命の一つでもあるし、そういったことをすごくシンプルに感じられる場所に無人島プロジェクトはなるんじゃないかなと思っている。無人島に行く動機は人それぞれあると思うけども、絶対に何らかの気づきを得て帰れて、それが日常生活への活力につながるんじゃないかなと思っている。ぜひ機会があれば、自然体験っていう形式でもいいし、無人島キャンプに来るっていう形式でもいいので、そういう時間を作ってくれると良いと思う。
■各回の見どころ
7月:「太古の食を体感せよ」食育に近いコンテンツ
8月:「文明をつくれ」制作系コンテンツ
9月:「原住民になりきれ」楽しさと表現を追求するコンテンツ
■無人島プロジェクトに興味ある方はこちら
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