英国発エシカルコスメのラッシュは、LGBTの人権擁護のためチャリティキャンペーンを開始した。限定商品を7月5日まで販売し、その利益を全額支援団体へと寄付する。世界42か国で展開しており、寄付の目標額は25万ポンド(約4500万円)だ。同性婚を認める国が増えている一方で、反同性愛的な法律を持つ国は70か国以上ある。キャンペーンを通じて課題を伝え、改善へとつなげる。(オルタナS編集部=佐藤 理来)

同性愛者として暮らすことが犯罪になる国が70以上ある

同性愛者として暮らすことが犯罪になる国が70以上ある

今回のチャリティでは、「GAY IS OK」というメッセージが書かれた限定ソープ「愛する権利」の販売利益が対象になる。ソープを持った姿をSNS発信して賛同メッセージとするハッシュタグ企画も行われている。6月25日から7月5日までの期間中に世界で1億人へのリーチを目指す。

他にも、石川大我区議会議員とのセルフィー企画や、地域のNPOと協働したチャリティパーティなども予定。28日に代官山で行われたトークショーでは、LGBT当事者の就活支援などを行うNPO法人ReBitの薬師実芳代表が登壇した。

米国最高裁が同性婚を合法と判決するなど、LGBTの権利獲得への動きが世界的に高まっている。一方で、インドやスーダンなど76か国が同性愛行為を法的に禁じている。死刑の対象になる国も8か国ある。

日本では、同性愛が犯罪になることはないが、法的サポートもないのが現状だ。同性間のパートナーシップを証明する渋谷区の法案も、法的拘束力はない。薬師代表によると、日本は「LGBT差別のない代わりに権利もない状態」だという。

現在、先進国の約3分の1がLGBTをはじめとする性的少数者に対して、差別禁止の条例を持っている。G8の中では、性的少数者への差別禁止条項を持たないのはロシアと日本だけだ。

薬師代表は「『犯罪にならない』イコール『差別がない』ではない」と説明。「そういう意味だと日本は先進国とは言えない」と話した。

トークイベント中の薬師代表(右)「日本でも声を上げていくことが大切」と話した(Photography by Kensuke Sato)

トークイベント中の薬師代表(右)「日本でも声を上げていくことが大切」と話した(Photography by Kensuke Sato)

「今まで、LGBTなど性的少数者については、黙認したり、見ないふりをしたりされていた。今ようやく議論のテーブルに乗ろうとしている。一度考えてみて、その上でイエスなりノーなり、あるいはわからないでも構わない。まずは考えるきっかけになればいい」(薬師代表)

チャリティソープの寄付先は、現在募集中だ。LGBT支援に取り組む草の根団体を全世界から募集し、9月30日まで申請を受け付ける。限定ソープの販売で25万ポンドの寄付を集めるのが目標だが、利益が25万ポンドに満たない場合でも、同額の寄付を行う予定だ。

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