筆者はこのほど、エシカルなファッションを世界に広めるイベント「エシカルファッションカレッジ」を訪れた。「made in japan」と記載された服はあるが、原材料である綿は国内では作られていないという。では、一体どこで、誰が、どのようにして綿を作っているのか、この疑問の答えを知るため、ある女性をたずねた。(早稲田大学高野ゼミ支局=千葉 友也・早稲田大学社会科学部2年)

orgabitsのブースでは、服の原材料である綿について学んだ

orgabitsのブースでは、服の原材料である綿について学んだ

筆者は、オーガニックコットンを展示している「orgabits」ブースを訪れた。そのブースでは、外国の子どもたちの写真が数多く飾られたテントの下で、いかにも自然が好きそうな明るい女性に歓迎してもらった。

アパレルショップで働いているその女性は、服の原材料である棉に注目している。日本の棉は観賞用にしか作られておらず、服用に作られる棉はないことに疑問を抱いていた。

頻繁ではないが「made in Japan」と書かれた服を見たことはある。しかし、原材料である棉は外国産であり、最終的に服が作られた場所が「Japan」に過ぎないのだ。

ワークシートとともに進んだ筆者との会話では、学校では教わったことのないような話が弾んだ。Tシャツ1枚で棉は200g必要であり、200gの棉を栽培するまでに2000ℓもの水を利用する。オーガニックではない棉の栽培には大さじ10杯の化学肥料が使われているそうだ。

オーガニック・コットン以外で作られるものには、大さじ10杯分の農薬が

オーガニック・コットン以外で作られるものには、大さじ10杯分の農薬が

筆者は、1つの問いを投げかけた。一体どこで、誰が、私たちのもとへ届く棉を栽培しているのか。世界で最も棉の生産量が多い国のひとつはインドだ。インドでは、棉の栽培は主に子どもたちがしている。棉は収穫時期になると、大人の背丈では少し低いが、ちょうど子どもたちが栽培しやすい高さまで成長する。

したがって、大人よりも子どもの方が栽培効率が良いのだ。彼らは、収入を得て家計を助けるために、その仕事に長い時間を費やす。

彼らの中には、学校に行けなくなる人もいる。orgabitsの女性スタッフは「このような現状を知ってもらうことが大切。安く服を買うことを止めることはしない。ただ、安く服を手に入れる前に一度だけで良いから、生産者や環境について考えてから購入するか決めるという選択肢を常に持ってほしい」と言う。

綿の生産は子どもが行い、児童労働になっている

綿の生産は子どもが行い、児童労働になっている

人のためになる方法はいくらでもある。どんな方法でもそれは可能なのだ。日本を発たなくても、直接人に会わなくても国際協力はできる。服のように、普段私たちが馴染みのあるものから注目し、見方を少し深めるだけでたくさんの気付きを得ることができるのではないか。

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