同社がかぎりなく100%に近い配合で、自然界由来成分からメイクアップ製品を作る可能性を見出したのは、ブラジル・アマゾン川流域の先住民族であるヤワナワ族との出会いから。ヤワナワ族は、儀式でウルク(ベニノキ)という原料を使い、ボディーペインティングする。このウルクが、同社の製品の原料として使われている。

ウルク。これを使ってボディーペインティングをする

ウルク。これを使ってボディーペインティングをする

それ以来、植物の知恵を持つ先住民族や成分の調達先の農家とのパートナーシップに力を入れている。同社専任スタッフが各地域のコミュニティと交渉し、サステナブルな関係を築く。専任スタッフがいることで、コミュニティに対して原料を支払うだけでなく、彼らの暮らしや地域のサポートを行い、緊急時にも対応できる。

ヤワナワ族にマラリヤが蔓延したときには、療養所を建設し、ブラジル政府に働きかけ、定期的に健康診断を村で施行してもらえるようにした。その結果、衛生面が向上し、村の人口が3倍にもなった。このパートナーシップにより同社の口紅の売上高も4倍になるという結果を得た。

エシカルな経営で高性能な製品をつくり、ファンを獲得してきたが、エシカルは、同社の社員のモチベーションにもなっている。同社事業部マーケティング部パブリックリレーションズの有吉由妃さんは、「製品づくりにおけるすべての過程で、環境配慮につながるので、働くこと自体がやりがいとなる」と話す。環境経営は、外部にファンをつくることはもちろん、内部の活性化にもつながるのだ。

[showwhatsnew]
1 2 3 4