東京財団は7月30日、第96回東京財団フォーラムを開いた。同フォーラムでは、コロンビア大学地球研究所長のジェフリー・サックス氏が登壇し、ポスト2015の開発アジェンダにおける企業の課題について講演した。ジェフリー氏は、「グリーンな技術革命で、世界をリードできる」と日本企業に期待を込めた。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
登壇したジェフリー氏は、2015年が期限であるMDGs(ミレニアム開発目標)について、「2010年に、極度の貧困を半分にするという目標を達成できた」と、一定の評価を与えた。MDGsとは、貧困撲滅や女性のエンパワーメント、環境配慮など8つの目標を設定し、その目標を2015年までに国際社会全体で目指す枠組みである。貧困分野の目標は、1日1.25ドルで暮らす極度の貧困の人口を、2015年までに半分に減らすことを目標に掲げていた。
ジェフリー氏は、貧困削減に対して一定の成果がでたことを評価しつつも、2015年以降に新たな課題が出てきたと指摘。それは、「貧富の格差」、「いまだ10億人(世界人口の15%)が極度の貧困で苦しんでいること」、そして、「気候変動」の3つだ。
特に気候変動は深刻で、2015年の夏の気温は、1879年から観測してきたなかで最も高い温度を記録していると言う。全世界で温暖化が進み、海面の上昇で消滅する地域も増え、水の枯渇も課題だ。
この気候変動の課題に対して、ジェフリー氏は、日本企業にグリーンな技術革新を求めた。「日本企業は、テクノロジーで世界をリードしている。その技術力を生かして、環境に配慮した資源で、エネルギー効率の良い製品を製造すべき」とし、自然エネルギーに切り替え、低炭素社会の実現へ足並みをそろえるべきと主張。「化石燃料やガスに依存し続ける企業は敗者になる。2015年以降、勝者になる企業は、環境や労働基準などに配慮したエシカルな経営をしているところだ」と断言した。
国連は、2015年以降の課題に対しては、SDGs(持続可能な開発目標)を策定している。SDGsでは、「貧困」「飢餓」「気候変動」などに加えて、「グローバルパートナーシップの再構築」「インクルーシブな社会の促進」など全部で17個の目標を定めている。
同フォーラムは、東京財団が2015年度のCSR白書を出版した記念イベントとして行われた。会場には、CSR担当者を中心に、約200人が集まった。
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